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2019年03月03日|お知らせ


2007年04月26日(木) 

高校生意欲調査:「出世意欲」、日本は断トツ最下位

午前5時45分起床、岩見沢は雨。

昨日の移動中に読んでいたもの。

高校生意欲調査:「出世意欲」、日本は断トツ最下位

日本の高校生は米中韓の高校生よりも「出世意欲」が低いことが、財団法人「日本青少年研究所」(千石保理事長)の「高校生の意欲に関する調査-日米中韓の比較」で分かった。「将来就きたい職業」では、公務員を選んだ高校生が日本では99年調査より約22ポイントも減少するなど、米中韓に比べ、明確な目標を持てない日本の高校生の実情が浮かんだ。(毎日新聞 2007年4月24日 21時40分

財団法人「日本青少年研究所」のサイトでは、調査概要(PDF)が公開されているので、それをダウンロードして読んでみた。それによると、調査内容は以下の通りである。

・調査内容
① 進路と希望
② 若いうちにやっておきたいこと
③ 生活意識と人生目標
④ 職業意識
⑤ 偉くなることについての考え
⑥ 自分の特徴や心情
⑦ インタネットの利用
⑧ 授業風景と学校生活への考え

そして「調査結果の概要」がなんとも興味深いのである。

① 卒業後の進路
「国内の一流大学に進学したい」
⇒日本20.4%、米国24.7%、中国37.8%、韓国28.5%
② 若いうちにぜひやっておきたいこと
日本:「一生つきあえる友人を得たい」
「趣味や楽しいことを思う存分やっておきたい」
「いろんなことを経験したい」
米国:「将来、役に立つ技術や資格を身につけたい」
「いろんなことを経験したい」
「一生つきあえる友人を得たい」
中国:「一生つきあえる友人を得たい」
「将来、役に立つ技術や資格を身につけたい」
「高い学歴を得たい」
韓国:「一生つきあえる友人を得たい」
「お金儲けをしたい」
「趣味や楽しいことを思う存分やっておきたい」
③ 生活意識
日本:「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」
米国:「一生に何回かはデカイことに挑戦してみたい」
中国:「やりたいことにいくら困難があっても挑戦してみたい」
韓国:「大きい組織の中で自分の力を発揮したい」
④ 人生目標
日本:「たくさんの友達をもつ」
米国:「円満な家庭を築く」
中国:「お金持ちになる」
韓国:「自分の趣味や興味をエンジョイする」
⑤ 偉くなることについて
日本:「責任が重くなる」「自分の時間がなくなる」
米国:「自分の能力をより発揮できる」「周りに尊敬される」
中国:「自分の能力をより発揮できる」「責任が重くなる」
韓国:「周りに尊敬される」「自分の能力をより発揮できる」
⑥ 偉くなりたいか
「偉くなりたいと思う」(「強くそう思う」)
⇒日本8.0%、米国22.3%、中国34.4%、韓国22.9%
⑦ 将来就きたい職業
日本:「営業・販売・サービス職」
米国:「医師」、「デザイナー」、「スポーツ選手や歌手」
中国:「会社・企業の経営、管理職」、「公務員」、「法律家」
韓国:「小中高校の教師」「会社・企業の経営、管理職」「デザイナー」
⑧ 心情
「よくいらいらしている」日本28.0%、米国18.4%、中国17.8%、韓国13.2%
「よく疲れていると思う」日本50.0%、米国38.2%、中国31.8%、韓国37.0%
⑨ 自分の特徴
4ヶ国の共通項目:「好きなことに一生懸命に打ち込む」、そのほかに
日本と韓国:「与えられたことを頑張ってする」「誰とでも仲良くできる」
米国と中国:「人の世話をすることが好き」「何にでも疑問や関心をもつ」
⑩ インタネットの利用
「ほとんど毎日」:日本23.0%、米国58.0%、中国8.0%、韓国48.7%
「あまり利用していない」:日本27.4%、米国6.5%、中国32.9%、韓国5.4%

たいして変わらない

私は今から30年程前に高校生であったわけだが、インターネットを除けば(30年前にはインターネットなんかなかったものね)、今の高校生も、私の高校時代とたいして変わらないな、というのが正直な感想なのである。以下は私のことである。

先に書いた「鏡像としてのWeb」に則していえば、へその緒は完全に切れてるわけでもなく、かといって、どこかに接続しているわけでももない、というような、宙ぶらりんな状態なのである。つまりは原初抑圧不全である。※原初抑圧いついては、「ボロメオの結び目(ジャック・ラカン)」、「日本語の構造。(縦に書け!)」をご参照いただきたい。

象徴の貧困

それは自分を指し示すものがない「象徴の貧困」でしかないのだが、とにかくも宙ぶらりんなのであり、自分がなにものなのか、なんて分かるわけもなく、分かろうともしないし(わけのわからない自分探しぐらいはするけれども)、ただの「よい子」なのである。自己保身的な平和主義者で、他者に優しく、競争が嫌いな高校生なのであった。

そしてお決まりのように己に宿る野生に悶々としていたわけだが、それは30年前の私も今の日本の高校生もあまりかわらないだろう。とにかくも戦後の日本の高校生の多くは原初抑圧不全というだけのことだ。なぜそうなのかといえば、そういう風に育てられたからであって、それがいいことだとか悪いことだとかいっても始まらないと(私は)思う。

それがオタクを生み出したこの国のシステムの一部を成しているのだと考えるしかないのである。

ケータイという強くて狭い紐帯の中で

だから、私の時代に比べれば、今は「鏡像としてのWeb」があるだけまだ幸せだろう、と書こうとしたら、「⑩ インタネットの利用」の調査結果を見れば、日本の高校生って、ぜんぜんBeing  Digitalになっていない。

でもこの結果にはたぶん裏があって、日本の高校生は、Webの代わりに、ケータイにへその緒を接続してるのだろうな、と思うのである。そう、ただつながりたいのであるが、そのことで、その「つながり=紐帯」は意外と狭いのではないか、と考えられるだろう。つまりそれは、リアルな社会の友達関係を出ることはないのだろうな、とも思う。

(そして彼らのコミュニケーションは話し言葉の延長でのみ行われる――ことで文章がかけないのである)。「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ。(太田直子)

閑話休題。だとしたら、リアルな世界に友達がいなかったら、それはさみしいわけで、「② 若いうちにぜひやっておきたいこと」は「一生つきあえる友人を得たい」ということになるのだろう。

投稿者 momo : 2007年04月26日 06:51 : Newer : Older

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コメント

戦後戦略が見事に成功した(された)例でしょう。
慢性的な塩分欠乏による日本人の無気力化。
二度と真珠湾の悲劇を起こさせるな!と言うところでしょうか?

未だに造られた報告書を元に日本の医療が進められているのはどうした物かですね。

投稿者 悪魔 : 2007年04月26日 21:51

>悪魔さん

塩分欠乏症は私も認めるところですが、無気力化との因果関係はわかりません。(笑)
ただ、私から言えるのは、日本語の構造的な問題として原初抑圧は弱い、ということですね。
そこを補っていた共同体性が崩壊してしまえば、象徴的なものは「世間」以外にはなくなってしまいますから、その世間を作り出しているものが、問題になってくるのだろうと思います。

投稿者 momo : 2007年04月30日 09:17

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