モンテマーレモンテマーレ


モンテマーレ

午前6時10分起床。浅草は晴れのちくもり。トラットリア・トレンタ(トラトレ)は、札幌南一条郵便局のあるビルの中にあり、外からその存在を確認することはほぼ不可能であって、案の定、タクシーの運転手は、場所を特定出来なかった。

それでも、あたしらがトラトレについたのは、久しぶりのこの街で、久しぶりのこの店の、懐かしい香りのようなものがしていたからに他ならず、モンテマーレなんだかわからない「感」のようなものが働いていたからかもしれない。

店の前では、あたしは思わず「懐かしいな」、という言葉が口をつき、店の人達(とは言っても、あたしの目に映っていたのは元気な奥さんだけだったが)に挨拶をして席に座ったのだ。

最初に出てきたキノコばかりの料理の名前を聞けば、「それはキノコよ」、という奥さんの、北海道並のおおらかさに、あたしの堅くなっていた身体は緩み、赤ワインの、ほろ甘い海へと船出するのだ。

骰子一擲」になる前に、と気を使ったわけではないだろうが、最後は、かつてのようにモンテマーレが出てきて、「あー、これだよ」、とあたしは思わず手を伸ばした。

糖質制限食故に、食べてはいけないパスタを、今日は思い切る食べるぞ、と意気込む。この船乗りの様に酔っ払ったあたしの思考が停止するまえに、「全思考は出発する骰子一擲」を、というようにこの一食にかける。

あーうまい!絶妙のパスタの茹で加減に、山と海の幸がころがっている。モンテマーレがあればこそのトラットリア・トレンタよ、と久々の訪問を、あたしの胃袋が泣いて喜ぶのだ。

キノコ IMG_4693
中央にフォアグラが入った鶏の プロシュットとチーズ

トラットリアトレンタ
北海道札幌市中央区南1条西5丁目
011-241-0663

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