アンサンブルのX'mas
アンサンブルのX'mas


エスカルゴ12月25日クリスマスの夜。網玄から大通2のアンサンブルへ向かいエスカルゴを酒肴にワインを飲みながらアルゼンチンタンゴを聴いた。クリスマスソングも演奏してくれたが、バンドネオン、ピアノ、ヴァイオリンというアンサンブルで演じられるTV鬼平犯科帳のエンディングテーマ「インスピレーション」は驚異的でさえあり素晴らしかった。

「驚異的でさえあり素晴らしかった」……なんと陳腐な表現だろう。

こういう形容詞の羅列をテクスト狂である私は(ほんとうは)書きたくはないのだ。しかしそんな表現しかできないのは、音楽的才能のないテクスト狂にとって、音楽は意識の外にある「どうしようもないもの」だからだ。

テクスト狂のやることと言えば、意識の隅々まで神経のネットワークをはりめぐらせ、その接続点でおきていることをすべて言語化しようと「のたうち回りながら苦しむこと」(by 江弘毅)でしかなく、されど音楽ときたら、そういうテクスト狂のもだえ苦しみを尻目に、意識と無意識の境界をあっさりと一跨ぎしてしまい〈私〉の中にある野蛮人を擽(くすぐ)るのである。

そんな擽りに〈私〉の中の野蛮人は(良くも悪くも)無意識的に反応してしまう。そういう野蛮人的な事象をテクストで表現できる人間を俳人とか詩人とか作家と呼ぶのなら、私は作家でもなく詩人でもなく俳人でもなく、ましてや音楽家でもない。されば音楽という修練を積んでいない私に音楽を語る語彙があるわけもなくないものは書けない。そして落胆しながら、ああ素晴らしかった、と書くしかないのである。ただその落胆はこの店に対するものではなく、私自身の語彙の貧困に対してであることは余計な説明なのだろうね。

アンサンブル
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