昼餉(ランチ)に1丁目のクロープクルアに出かけ、みちすがら浅草寺の境内を通ると、梅の花が咲いていた。
寒い、寒いとばかり言っているあたしを余所に、天然は春に向かって正直に円環をめぐっている。
梅の花といえば、真如が梅の枝を折って美登里に手渡す『たけくらべ』を思い出す。
樋口一葉のテクストは、狂わんばかりの梅の香を漂わせていたのに、浅草寺の梅はそっけもなかった。それは、あたしの鼻が壊れているせいではないだろう。
ふりむけば、宝蔵門の屋根には大きな文字板があり、今年は、浅草寺本堂落慶50周年で、10月15日から、記念の開帳であることを知らせている。
いまの浅草寺本堂は、あたしと同じ歳である。(たぶん修繕が始まるのだろうと思う)。あたしもそこいら中にガタがきて、ない病気はない状態なわけだが、修繕は必要なのだろうか。
特別開帳といえば、究極の無(見たら目が潰れるのよ)といわれた御本尊様の、姿を見ることはできるのだろうか。