赤字国債に至らない規模  経済対策で中川氏

自民党の中川秀直元幹事長は24日のテレビ朝日番組で、政府が近くまとめる緊急経済対策に関し「赤字国債発行に至らない規模にしなければならない」と述べ、赤字国債を増発する大型の補正予算には反対の立場を表明した。

同時に、各省庁が要求している事業規模が合計で約8兆円に上ることを念頭に「1兆円は超えなければならないが、8兆円となると、しんどい」と述べた。

また同党の菅義偉選対副委員長は、同日のフジテレビ番組で、中川昭一元政調会長が2兆-3兆円規模の経済対策を求めたことに関して「そこまでの金額は必要ない。財政規律を保ちながら、将来につながる補正予算を組むべきだ」と述べた。 from 赤字国債に至らない規模 経済対策で中川氏


これは国に頼るヘタレな心象に違いないが、今の地方の経済状況というのは非常事態なのであって、(ヘタレと言われようが)政府の行う緊急経済対策は、だれもが気にするところなのだ(たぶん)。

中川秀直さんの発言は、一党矛盾同居政党である自民党の、一方の極(規制緩和派=財政再建派)の立場からの意見だ。しかしその立場でさえ、《政府が近くまとめる緊急経済対策に関し「赤字国債発行に至らない規模にしなければならない」》というように、緊急経済対策を中途半端に認めざるを得ないのは、弁証法の止揚のようなもので、つまり自民党は、財政再建を優先するのか、それとも経済対策を優先するのか、のトレードオフの関係がいつも成立してしまうことで、年中無休の止揚政党なのである。(参考:小さな政府で格差是正は可能なのだろうか―独自調査で分かった「政界再編予想図」:NBonline(日経ビジネス オンライン) from モモログ

独自調査で分かった「政界再編予想図」

>>>自民党の図を拡大する  >>>民主党の図を拡大する

from 独自調査で分かった「政界再編予想図」:NBonline(日経ビジネス オンライン)

元々自民党は派閥間の対立の止揚という弁証法政党でしかなかったのだけれども、それは時代が「灰色」を認めていたからであって、今の時代に、止揚(中途半端)は、一番通用しにくいものでしかないだろう。なぜなら世間には、「灰色」がない(=消費主体の心象)からであって、だから灰色の福田さんの支持率も低い

かつて小泉さんの支持率が高かったのは、良くも悪くも白黒がはっきりしていたからだし、小泉さんとは政治的には逆の立場の麻生さんは、(良くも悪くも)はっきりとその立場を言うものだから、福田さんよりも支持率は高くなる。

そんな中で、中川さんの意見は、結局は弁証法政党でしかない今の自民党の、主流の意見(ミーム)になるのだろうな、とは思うのだけれど(たぶん)、こんな非常事態にさえ、結局はこんな中途半端に意見に収斂してしまいそうな今の自民党をみていると、アラン・S・ブラインダーの言葉を思い出す。

複数個の競合するエコノミストの提言が与えられたとき、採択させるのは最悪のものである。

この言葉を導くのは次のマーフィーの法則だ。

エコノミストの知識がもっともよく行き届いており、彼らのあいだでもっとも意見の一致がみられるとき、エコノミストの影響力は最小になり、エコノミストの知識がもっとも不足しており、意見のバラツキが大きいとき、エコノミストの影響力は最大となる。

今の自民党というのは、いろんな意見があるようで実はないのである。福田さんは《複数個の競合するエコノミストの提言が与えられたとき》状態ではないのだ(たぶん)。だからそこで選択されるものは《最悪のもの》とはならない(しかし最良のものでもない)。「最悪のもの」とは小泉さんの時の竹中さんのようなものだ。

しかし思うのは、どうせ中途半端なら、もっと中途半端に財政出動を大きくしてもらいたいな、ということであって、つまり同じ中川でも中川昭一さんがいうように、2兆-3兆円規模の経済対策は欲しいな、とヘタレなことを言うのである(にしても建設業は救えないだろうが、社会の厚みを保つには最低限必要な公共投資だろう)。ということで、午前8時55分起床。浅草はくもり/雨。