22日の東京外国為替市場で円相場は続伸し、1ドル=108円50銭前後で推移している。早朝には一時、前日終値比82銭円高・ドル安の108円29銭に上昇した。東京市場では2005年6月以来、2年5カ月ぶりの円高水準。前日の米国市場で株価が下落。米景気の先行き懸念が強まり、円買い・ドル売りが進んだ。(11:09)[東京円、一時108円29銭に続伸・2年5カ月ぶり円高水準]

22日午前の東京株式市場で、日経平均株価は続落。前場終値は前日比59円75銭(0.40%)安の1万4777円91銭だった。前日の米株式相場の下落や円相場の堅調な動きを警戒し下落する銘柄が多かった。東証株価指数(TOPIX)は続落。[日経平均続落、午前終値59円安の1万4777円:NIKKEI NET(日経ネット)


株価なんて上がったり下がったりするものなのだから、まあ、(上がろうが下がろうが)どうでもよいのだが(本当はどうでもよくないけれども)、今回は少々嫌な感じがするのは、それが米国経済とその基体にある金融資本主義への不信という問題を原因に持つからだろう。

プライムローン問題

その不信を表出させたものは、他ならぬサブプライムローン問題であって、それは金融資本主義の持つマヤカシが明らかになった、手品の種が明かされた、ということでもある。

米国経済に対する不信の一つは、言うまでもなくサブプライムローン問題である。/ここで、とんでもないインチキが横行していたことが明らかになってきたのだ。 既に盛んに報道されているのでご存じのことと思うが、サブプライムローンとは低所得者層向けの住宅ローンのことで、審査が甘い代わりに利息が高い。最初の2年は安く抑えられているが、3年後には10~18%というサラ金並みの利率になってしまうのだ。/その仕組みを使って、日本でいえば年収200万円台の人たちに、プール付きの豪華な家を買わせてしまったのである。支払い能力を考えれば、常識ではありえないことである。[米国経済の危機、国内投資のチャンス / SAFETY JAPAN [森永 卓郎氏] / 日経BP社]

手品の種明かし

普遍経済学金融資本主義でも、普遍経済学でいう純粋贈与のところにコルヌコピア(価値の増殖装置)があるのはたしかだ。

けれども、その富の増殖装置はどうもあやしい。それは、自然の行う無償の贈与(純粋贈与)などではなく、まるで「手品のようにして」価値の増殖は起こる。※1

ただ、そのことを不思議と思う人は少ない、というのが金融資本主義の成立基盤なのであって、私がまだ学生だった頃は、かろうじてその仕組みを理解していた方々(マルクス経済学)もいたのだが、それもまた絶滅危惧種。今や、金融資本主義は空気のようなものだろう。

しかし普通に呼吸していたその空気が、なにかおかしいな、と思い始めた途端に空気は不味くなる。

金融資本主義とは、信じる者は救われる、のシステムなのであって、それをいったん疑いはじめれば、バブルのシステムは一挙に崩壊する。

この自然の行う無償の贈与(純粋贈与)ではない、人工のコルヌコピアも、そろそろ綻びがめだってきた、ということなのだろうが、ほんとうは、人間はだまされ続けていた方が幸せなのかもしれないな、と最近の私は思っている。

それはその仕組みを知っていようが、知らないでいようが、たいして世の中は変わらない、ということなのだが、ただ数値(目に見えるかたち)としての価値の下落は、それを許さないのだろうな、とも思う。

※1:中沢新一:愛と経済のロゴス―カイエ・ソバージュ〈3〉 (講談社選書メチエ):p152