桃知商店よりのお知らせ

〈贈与〉を否定すれば雪が残る。「工事に指名されることの見返りとして建設会社が担ってきた様々な地域貢献の分野で、歯車が狂い始めた」という記事。

福島県で前知事の絡んだ談合事件が明るみになったのは2006年のこと。その後、県が指名競争入札から一般競争入札へと急速に転換した結果、2007年度に発注した工事の平均落札率は80%台半ばまで、前年度と比べて10ポイントほど低下した。/一般競争入札の拡大で、発注者が指名権を振るう機会は激減。これがきっかけとなり、工事に指名されることの見返りとして建設会社が担ってきた様々な地域貢献の分野で、歯車が狂い始めた。 /例えば、福島県県北建設事務所は2007年11月、除雪業務を24工区に分けて見積もり合わせをしたが、5工区で不調となった。県は不調になった近隣工区をすでに受注した建設会社を訪問するなどして協力を要請したが、最後まで21.3kmの区間の除雪を担う会社が決まらなかった。 [談合の後には雪が残った|ケンプラッツ]


午前8時起床。浅草はくもりから晴れへ。最低気温は1度。厳しい冷え込みだけれども、それは東京人の言い分であって浅草には積雪もなければ凍結もなく、寒いといっても氷点下になるわけでもない。部屋はちょことガスヒーターのスイッチを入ればたちまちに温まってしまうわけでこの寒さが生活に支障を与えることはない。

先日岩見沢、札幌へ出向いたときにはかなりの雪が降っていた。東京ならパニックだろうが、それでも私の仕事が滞りなく遂行できたのは北海道の雪対策の賜物であって、あちらこちらで除雪作業をしているところを見ることができた。

特に豪雪地帯である岩見沢市の除雪・排雪は完璧であって、市道の雪の量は道道、国道に比べれば格段に少ない。道道、国道の道幅は狭くなるばかりで道路の格が逆転してしまっている。その理由は「お金がない」でありその開き直りには、「地頭と泣く子と国には勝てない」であるのだが、ただでさえ生産活動の鈍る冬の北海道を行政が圧迫しているようにさえ思えた。

地方には私たちのような街中で生活しているものとは違った生活の苦労がある。それは街中に住んでいるだけではわからないし、テレビで見てもネットで調べても実感として沸かないものだろう。つまり人間経験したもの以上の想像力は働かない。(嘘だと思うなら、ドレミファソラシドとオクターブを上げていってみればよい。聞いたことのない音は想像もできないのだよ)。

今回の通常国会を民主党はガソリン国会と称した。ガソリン税を廃止すれば出費が減るからといった主婦感覚で民意を得ようしているのだろうが、それによって道路整備・維持の財源を2兆円以上失うことになるのだが、その穴埋めはどうするのだろうか。そこに明確な解の無い民主党のやり方は、パトリ(地域)の利害関係を調整する機関として、いささか想像力の欠けたものだとしかいいようがないだろう。ガソリンが安くなっても走る道路がどうしようもなくては元も子もない。

小泉さんの時代の自民党や小沢民主党には、「どんなに長い時間をかけて構築されてきたものでも失うのは瞬時でありそれに代わるものを構築していくにはまた長い時間が必要だ」という〈贈与〉の感覚が欠如している。破壊するだけではなにも生まれない(創造的破壊というのはそういう意味だ)。

それは政治の貧困以外のなにものでもないだろう。選挙に勝てばなんでもいいとでもいうのなら、国民を無視しているだけのことだし、「改革」という言葉がどうでもよかったことは小泉→小沢の選挙手法が証明してしまっている。そににあるのはスパイト行動の利用だけだ。(利用される国民も国民だけれども、まあそれがポピュリズムなのだからしょうがない)。

[談合の後には雪が残った|ケンプラッツ]という記事をどこか間抜けだなと感じるのは、それは今起きたことではないからだ。記事に書かれているのは福島県のことなので最近の出来事なのかもしれないが、長野県ではだいぶ前からそうなのであるし、一般競争入札が実施された地域は総じてそうなっている。つまり地方の公共事業のマーケット・ソリューション化は生活のための道路維持さえも困難にさせているということであり、つまりは地方の衰退をもたらすということだ。

その要因は財源の減少=公共工事の減少=公共工事のマーケット・ソリューション化ということと同時に、地方がその足場としてきた〈贈与共同体〉という仕組みを無理やり破壊してしまおうとすることにある。それ(贈与共同体)は日本型資本主義同様壊してしまうには惜しいシステムなのだ。

そんな貴重なものをいとも簡単に壊してしまえるのは、どんなに長い時間をかけて構築されてきたものでも失うのは瞬時であるけれどそれに代わるものを構築していくにはまた長い時間が必要だ、という〈贈与〉の感覚が欠如しているからだろうし、想像力が欠如しているからでしかない。想像力が欠如し妄想に支配された政治を独裁というのだわね。それは独裁者が居る/居ないにはかかわらずだ。

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