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2019年03月03日|お知らせ



名古屋うどんは、「普通の味」の店だったけれども、それは浅草に住むあたし的な「フツー」であって、無くなってしまった今は、あたしの脳みその中では、とてつもなくうまかった店になっていたりする。

名古屋うどんのかけうどんと親子丼(小)のランチセット午前6時10分起床。浅草は晴れ。日課としての目覚めのメールチェックをすれば、140Bの大迫さん(この方、フルネームは大迫力というのだけれども、つまりは「だいはくりょく」なわけで、忘れられない得な名前だなと思う)から、バッキー井上さんの原稿が届いていて、いつものように読みながら記事をアップする。

[その13 俺は昼メシが好きだ。命だ。でも昼メシにこだわることは嫌いだ。 「山之家」 from 140B劇場-京都 店特撰]

あたしは、今は無き3丁目にあった「名古屋うどん」を思い出していたのだよ(写真は、「名古屋うどん」のかけうどんと親子丼のセット)、それはメールに添えられた、大迫さんからの一文に、胃袋の中心からじわじわと思い浮かんできたものだ。

食堂での「旨い」と、レストランでの「旨い」は、感覚というか観念的に違いますよね。そいうことはミシュランを読んで予約する読者には、やっぱり伝わらないのでしょうか。食堂での「旨い」は、完全に生活レベルでの「旨い」です。それを「まずくはない。普通の味」と言ってしまうのは、やるせない感じがありますね。

名古屋うどんは、「普通の味」の店だった。けれど、それは浅草に住むあたし的な「フツー」であって、無くなってしまった今は、あたしの脳みその中では、とてつもなくうまかった店になっていたりする。

あぁ、食いたい! 食えないと思うとますます食いたい、なのである。

街の食堂は、〈ハレ/ケ〉のケであることで、あたしは「普通の味」でいいのだと思っている。けれど、その「フツー」さがじつは「街的」なわけで、つまり、寿司と洋食と蕎麦は、近所のがいちばんうまい、のあって、時々その「フツー」さを人に自慢したくなったりもする。

つまりあたしの「フツー」さは、〈他者〉を前にしたときに「旨い」となる。

あたしの「フツー」さとは、あたしの生活の中に、ほかならぬ裏浅草的な地図(と暦)があるから「フツー」なのである。

ファミレスやファストフードが「フツー」である方々は、街的な地図(と暦)が無いことで、ハンバーグとポテトフライは近所のマックがいちばんうまい、とはいえない。だからあたしはそんなものは食わないことは先に書いた

ミシュランが「フツー」な人っていうのは、それは王様なんだから、勝手に蕩尽してもらえばいいのよ、と大迫さんの返信に書いた。ミシュランは〈ハレ〉である。〈ハレ〉は祭りである。祭りだから、そこにはそこのことばと儀礼がある。

ミシュランから無視されたうちの近所では、〈食堂/レストラン〉の区分はほとんど意味が無い。

区分は調理人の技術の差異でしかなくて、洋食屋でも、蕎麦屋でも、ラーメン屋でも、喫茶店でも、昼餉(ランチ)のとれるところは、大区分の食堂になる。

和菓子屋でたんめんは食えるし、喫茶店は洋食屋のような洋食を出す。「ニュー王将」は本当は何屋なんだかわからないし、うちの近所の「大門」は「ないものはない」と豪語している。

それにしてもバッキー井上さんの今回一番の断章はこれである。

俺はお墓に行く前の昼飯を九条河原町の「まるやま亭」で焼肉とドジョウ汁をたっぷり食っていたのであまりビールを飲めなかったが、一升瓶を横に置いて甥やら姪やら親戚のおばさんやらにあーだこーだ言われながら高校野球を見ていた。盆と正月はこうでなかったらさびしい。家族が親戚がだんだん少なくなって行くのなら、年長のツレの家でもその本家でもどこでもいいから決まった日に決まった所に決まった顔で集まって過ごすのが一番だ。

ここには、地図と暦がある。京都は「旨い」といっている。(あたしはそれをうらやましいと思う)。

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年03月07日 07:55: Newer : Older

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