とり幸の水炊き
とり幸の水炊き


午前6時起床、浅草は晴れ。昨日は八木博さんがおいでになられ、いつものようにBlogの勉強会。

一段落して、山岸俊男先生から『日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点』という近著が届いた、というはなしから、安心と信頼のはなしになり、個人と共同体のはなしになり、そのまま3丁目のとり幸に出かけ、水炊きと燗酒で楽しい会話の続きとなった。

久しぶりのとり幸だった。この日はコース料理しかないとのことで、水炊きととり刺しのあるコースを選んだわけだが、とり幸の水炊きととり刺しが食えれば、あたしに文句はないのである。

まずはとり刺しで呑む。生きのよいレバー、ささみ、砂肝の刺身は、燗酒との相性もよろしく、銚子はあっというまに空になり、ついつい、もう一本、そしてまたもう一本。いったいいくら頼んだのだろう。よい酒肴は迷宮の入り口のようなものだ。

水炊きは博多のそれが有名だが、とり幸の水炊きも負けず劣らずなのである。水炊きの命は骨付きの鶏肉からでたうまみの無限小。その煮汁はさらっとしていてはいけない。こってりである。 コラーゲンが染み出た汁は白く濁り、その汁を十分に吸い込んだ白菜がなんともいい。

白菜のくたっとしたのが、白くこてっと沸騰した液体の中にあるだけで、あたしはなんとも幸せな気持ちになれる。その上絹ごしの豆腐もあるとくれば、あたしの幸せ度はますます上昇するわけだ。 江戸の三白というのがあるが(大根、豆腐、白米)、白菜、豆腐、白いスープはとり幸の三白である。

ひとくち食べて、あぁ、としみじみと感嘆するのは、あたしのからだの隅々まで、「うまみ」がしみ込んだ、細胞の喜びであるなぁ。

しかし酒が進み、あたしの脳みそも水炊きの濁りのように混迷すれば、八木さんの杯にポン酢を注いでしまったりして、宴はますます楽しいのであった。

とり幸
台東区浅草3-33-7 
03-3874-4357
とり幸
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