午前6時20分起床。浅草はくもり。GWといってもうちの近所は静かなものだ。浅草の人はGWなんぞで力を使わない。もうすぐ三社祭なのである。みなさん力を蓄えている。ボーッとしている。今、珈琲を飲みながらこれを書いている「しやん」もそんな客ばっかりで、ボーッとしてお茶の時間を過ごしている。
昨晩は、浅草のタイ・ベトナム料理 クロープクルアでの夕餉。あたしはこの店が本当に好きだ。よくぞ浅草に店をもってくれた、オーナーシェフに感謝したい。あたしは辛いモノは苦手なので、どっちかといえばベトナム中心のメニューになるのだけれど、浅草で、うまいタイ・ベトナム料理が食えるなんて、本当は奇跡みたいなことなんだと思う。
ビールは333を頼む。こいつの喉ごしはどこまでも軽やかだ。自ずと食も進むのであって、まずはお約束の生春巻き(豚&エビ)を。一本ずつ頼んでそれぞれ3等分してもらう。
この店の生春巻きは巻きがかたい。パンパンとした張りがあって、それを切っても、いい寿司屋の海苔巻きのような巻きのかたさと包丁の切れがのこる。どう持って、どう食っても、姿が崩れることはない。
あたしはこれを、三段重一杯に詰めて、上野のお山で花見をしたい、というのが小さき夢なのだ。
それからバイン ジョーというハノイ名物揚げピロシキ?とバイン セオ(ベトナムお好み焼き屋台風)を食べる。どちらも出自は浅草では無いのだけれども(当たり前だ)、なんだかしれない貫禄と安定感があったりする。ずっと前からここに居るような。
こういうものを飲み食いしながら、あぁ、ここはベトナムだなぁ、と思うのは筋違いで、ましてやあたしはベトナムに行ったことがないのだから、何がベトナムなのかは全く知らない。タダひたすらに浅草のクロープクルアを感じるのである。
この日のお楽しみはチャーカー クロープクルア。つまりクロープクルア風のチャーカーである。
チャーカーはハノイのローカル料理で、川魚と野菜の炒めモノを米の麺と混ぜて食べるもの(らしい)。
この日の魚はテラピアで、それをピーナッツオイル+なにやらで炒め、空心菜を加えさらに炒める。それをブンと呼ばれる米の麺と混ぜ合わせるわけだ。
そのとき魚醤とエビの味噌を加えるのだけれど、これはいけてるなー。この店、なにを頼んでも、今までいちども(あたし的に)ハズレがなかったが、もちろんこれも例外じゃなく、思わず「スゲーね」と声に出してしまう。
そしてメインは、大好きなプー パット ポン カリー。Mangrove crab, curry & egg sauce つまりはカニのカレー卵とじ炒めにした。
いつもはマングローブ蟹(ノコギリガザミ)なのだが、この日はアサヒガニ(旭蟹)を使ったとのこと。なので真っ赤なのだ。マングローブ蟹に比べると、蟹の濃厚さには欠けるけれど、身はこっちの方がうまい。ハラコも沢山、イサムシェフ冴えわたりなのである。
ということで〆のご飯。この店以外で、〆にご飯、なんて絶対にあり得ないのだが、クロープクルアでご飯を食べないと損した気分になってしまうのだ。
あたし的なナンバーワンの米料理は、カオ パット マン ガイ ヤーン。けれどそれはランチのみメニューで夜はない。しかしがっかりすることはない。この店にハズレはないのであるのであるから、初物のカオ・パット・サパロット(パイナップル入りチャーハン)とコム ガー(チキンライス)を頼む。
これはあはは……であって、どっちも文句なしにうまい。特にコム ガーは単純だけれども複雑だ、という弁証法的なうまさが充満していて参った。
たぶんタイ米と鶏肉を一緒炊いている。それを例によって、大人の味に仕上げ魚醤を加えてグチャグチャに混ぜ合わせれば、気分はすっかりタイ米狂信者なのである。
しかし、あたしがなにも知らずにタイ米と呼んでいるこの米は、たぶんとんでもなく奥深いモノであるに違い無く、その調理方法も、これでもか、というぐらいにバリエーションがあるんだろうな、と思う。
同じ米食い文化圏でも、地図と暦でこんなに違うモノができあがる。けれどもそれをうまいと思えるのは、これが第3象限のものであるからで、あぁ恐ろしやの非合理性なのである。
とここまで食えば腹一杯。苦しいぐらいなのである。そして3人でこれだけ食べて、結構呑んで、お支払いはとくれば、これも、あはは……なのだな。じつにリーズナブルである。これがじつに浅草的なんだな。
クロープクルア (タイ料理 / 浅草)
★★★★★ 5.0
台東区浅草1-33-4 斉藤ビル2F
03-3847-3461
[浅草グルメマップ]
Comments [2]
No.1うどん星人二合さん
あ〜、プー パット ポン カリーが私を呼んでる・・・
タイ料理・ベトナム料理はみていると、無性に食べたくなって困るのです。
人が食べているのをみて「あ、ちょっと食べてみたい」となんていう程度でないから、ますます困るのです。
まして、ほんの数回でもクロープクルアの味を知っているので、さらに困るのです。(笑)
No.2ももちさん
>うどん星人二合さん
了解いたしました。
近く段取りいたします。