がま口内閣府が11日発表した6月の消費動向調査によると、家計の購買意欲を示す消費者態度指数(単身世帯を除く)は前年同月より12.4ポイント低い32.6だった。米同時テロ後の01年12月の33.0を下回り、データが比較できる82年6月以降で最低の水準だ。食料品を始め身近な品物の値上げが相次ぎ、消費意欲が冷え込んでいる。from asahi.com(朝日新聞社):6月の消費意欲、過去26年で最低 - ビジネス


建設業界だけでなく、世界中不景気だ

午前7時40分起床。浅草はくもり。政府や日銀によれば、2007年は景気拡大が6年目に入り、戦後最長の息の長い景気拡大が続いたとされた。しかし、建設業界にそんな実感はなかった。2007年は、景気が急激に冷え込んだ年だった。

建設業界ばかりでなく、国税庁の調査によれば、給与所得者の平均年収は9年連続の減少。年収200万円以下の給与所得者が21年ぶりに1000万人を超えたのが2007年という年だ。

その流れのママ2008年はもう半年が過ぎた。その6月の消費動向調査で、家計の購買意欲を示す消費者態度指数は、1982年6月以降で最低の水準となったらしい。

その原因は、増えない(というより減っていく)収入に対して、菓子、パン、灯油、タクシー、ビール、牛乳、乳製品など、値上がりしていないものを探す方が難しいという、物価の値上がりにある。

もちろんその根源的原因は、原油価格の高騰だろう。「“主犯”は原油先物市場へ流入した投機マネー」という意見をあたしは支持するし、それに言及できなかった洞爺湖サミットはなんなんだろう、と思う。(関連としては飛躍しすぎかもしれないが、田中宇さんの「米英金融革命の終わり」、町田徹さんの「期待外れなサミット閉幕の背後にある、深刻な米金融危機の存在」)。

「街的」も苦しい

物価が上昇しても給料が上がらない(収入が増えない)ければ、消費意欲が落ちるのは当たり前のことで、これで困るのは小売店(特に「街場」の中小個人企業)だ。原材料価格や仕入れ価格が上昇した分を、簡単には売価に転嫁できないことで、必要最低限の値上げに止めている。浅草の店々の現状がこれだろう。 それで起きるのは、やはり消費の減少(店からみれば売り上げと利益の減少)で、結果的にはそこで働いている方々の収入(給料)も減ってしまう(か、最悪、職を失う)のである。

スタグフレーションなのか

物価が上昇しているのに、給料が上がらない(もしくは失業者が増える)。あたしは「スタグフレーション」(不況下の物価高)が進行しているのじゃないのか、と思うのだ。今までは、物価が上がれば給料も上がってきた(インフレ)し、給料が下がっても物価も下がった(デフレ)。これで家計はなんとか回ってきた。しかし「スタグフレーション」はいけません。なによりも家計が回りません、というよりも資本主義が人々の生活の基盤として機能してません。

消費意欲は、欲望の穴埋めの別名で、欲望(私が私であること)を消費でしか埋められない人達を、あたしは「みんな」と呼んできた。 消費社会と言われて久しいが、そのシステムを機能不全にするのは意外と簡単で、それは消費者である「みんな」の消費意欲が冷え込めばいいだけのことだ。それが今現実に起きている。

では、消費意欲が冷え込めば、「みんな」は「みんな」じゃなくなるのか、と言えば、それはわからない。ただ言えるのは、この「消費者態度指数の低さ」とは、みんながビンボ―になっているので余計なお金は使えないのよ、ってことだ。

それに対して、「街的」は、そもそもがビンボ―が基体であることで、これで町内会は少しはしっかりするかもしれないし、「街的」はこの状況への対応能力は元々高いので、「街的」は、なんとか我慢しながら、現状を乗り切るかもしれない。

しかし、この「消費者態度指数の低さ」とは、外的につくられた「スキゾの限界」のようなものなのだから、それに我慢できない「みんな」は沢山出てくるだろう。

スキゾの限界

消費主体として逃げ続けるスキゾ・キッズは、たしかに共同体性破壊の大きな要因となった。しかしそれは新たなる不自由の始まりでもあった、と(私は)思う。スキゾは、なによりも消費主体であることで、個人の欲望に忠実である。しかしそのことで、この戦略は破綻するしかなくなってしまう。

なぜなら、逃げ切れなくなってしまう、のである。単に消費主体であり続けるのなら、やがて逃走資金は枯渇する。(笑)

逃走資金がなくなれば、(普通は)働いてお金を稼ぐのだが、クレジットカードや消費者金融(今思えばすばらしい名指しである)の信用取引が普及すると、(一時的に)収入(資産)<消費であることが可能となる。しかしそれは、いつまでも続くわけがないのは当たり前なので、〈私〉の信用は、交換の原理によって値踏みされ、多くは労働主体に戻ることを強要される。from 純粋消費、もしくは「一生遊んで暮らしたい」。

問題は、逃走資金を得ることの困難さの加速と、それに伴う「逃げ切れない」という心象が強くなることなのだ。「スタグフレーション」は、ますます「逃げ切れない」心象を強調してしまうことで、「みんな」のアノミーは加速するだろう。

それはまず、政治的な混乱となって表出するのじゃないだろうか(たぶん)。現状では自民党の惨敗は確実だけれども、民主党がすんなり勝てるとも思えない。細川さんや、小泉さんのような、トリックスターが出て来るかもしれない(小泉さんは要注意だ)し、橋本新党がそうなるのかはわからない。しかしそういう者(独裁者的なトリックスター)を求める心象が強くなるすれば、それはけっこう危ないアノミー状態なのではないのか、と思うのだわ(というか、そうなりそうな気がする)。