つむぎの天ぷら
つむぎの天ぷら


昨夜(7月19日)は、入谷鬼子母神の朝顔市に出掛け、帰りに、ひさご通りの手打蕎麦 つむぎに寄った。あたしたちはカンバン間際の最後の客だったが、嫌な顔もされず店に入れてもらえるのは、近所の蕎麦屋のいいところか。

しかしそこには問題はあって、それは致命的なものだった。蕎麦が売り切れてしまっていたのである。普通なら、蕎麦は売り切れです、ごめんなさい。なのだろうが、つむぎの若旦那は、わざわざ(あたしたちのために)蕎麦を打ってくれたのだ。それ幸い、と、出来上がる迄の時間潰しに、あたしは蕎麦屋の天ぷらで飲むのである。

天ぷらで飲む

しかしこの言い方には嘘があって、つまり蕎麦が売り切れていなくとも、あたしは最初から天ぷらで飲むつもりでいたのである。つむぎの酒肴用の天ぷら(つまり天ちら)は、海老二本と野菜の盛り合わせで一人前だが、これは品書きにないので値段はわからない(すいません)。

浅草の蕎麦屋の天ぷらは、あたしの性に合うものが多い。天ぷら屋はいせやに限る、等といっているわりには、蕎麦屋の天ぷらには甘いのである。

牛肉といんげんの煮物そしてお通しには、牛肉といんげんの炊いたものをたっぷりと出してもらい、天ぷらとこれをつまみながら、蕎麦が出来上がるのを待つのである。

つむぎは、ガラス越しに、蕎麦を打っている様子が見えるので、あ、そろそろ出来上がる頃だわね、と酒を切り上げる。

もり

それで、蕎麦は「大もり」である。つまり「もりそば」の大盛り。

大もり

蕎麦はズスーッと手繰るに限る。そのズスーッとに海苔は邪魔なので、ざるにはしない。で、やっぱりしつむぎの蕎麦はうまいよな、と思う。今回はわざわざ打ってもらったのだから尚更である。"ありがたみ"まで纏っている。

しかしそんな贈与を感じながらも、なんの気取りもなく、更級系のそれにつゆをたっぷりとつけてズスーッと啜る。全然江戸的じゃないかもしれないが、そんなことはどうでもいいのである。つむぎの蕎麦のいいところは、つゆをたっぷりとつけても辛くないところなのだ。あたしはそういう蕎麦の食べ方が好みなのであって、つまりは寿司と洋食と蕎麦は、近所のがいちばんうまい、のである。[浅草グルメマップ]

つむぎ
台東区浅草2丁目22-12
03-3844-8713

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