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2019年03月03日|お知らせ



総合経済対策、需要不足を補うものではない=定額減税で杉本財務次官―意思表明のない経済対策の効果は半減する。

財務省[東京 28日 ロイター] 杉本和行財務次官は28日午後の定例会見で、政府・与党が29日にも決定する総合経済対策で、公明党が主張している低所得者向けの定額減税について、今回の対策は需要不足を補うものではないと述べ、慎重な見方を示した。

杉本次官は経済対策の財源に関して「あすの取りまとめに向けて最終的な調整・検討が行われている。まずは対策をまとめ、しっかりしたものにすることが重要。財源は、その上で検討する」と述べるにとどめたが、赤字国債の発行について「総理ができるだけ赤字公債は避けたいと言っており、政府の一員としてそうした考えで対応していく必要がある」と語った。

その上で、与党間調整の焦点となっている定額減税の取り扱いに関して「今回の対策自体は、需要不足を補う観点の対策ではない。新しい価格体系に移行し、それに対してどのような手当てをしていくかという考え方が中心になる」と述べた。 (ロイター日本語ニュース 伊藤 純夫記者

総合経済対策

午前4時起床。浅草は雨。遠雷の重低音に目が覚めてしまった。さて、「総合経済対策は10兆円規模、定額減税は調整大詰め=日経」なのであって、真水で1兆円を越える程度の補正が組まれるのは、先の予想の通りだ。

この規模が大きいのか/小さいのか、といえば、あたしは小さいと思うのだが、まあ、それは置いておいても、杉本財務次官の「今回の対策自体は、需要不足を補う観点の対策ではない。新しい価格体系に移行し、それに対してどのような手当てをしていくかという考え方が中心になる」という発言は今の政府の立場をよく表しているなと思う。

需要か/供給か

政府が、今の不況を、需要不足と考えるのか(需要の経済学=ケインズ経済学)、それとも、原材料の高騰等によるものなのか(供給の経済学=サプライサイド経済学)では、処方箋は全く違うものとなる。

杉本財務次官の発言は、サプライサイド的な考え方であって、「需要不足を補う観点の対策ではない」のである。つまり簡単に言えば、消費者には買う力(可処分所得)は十分にある、けれどもそれを越えて物価が上がってしまっているから買わないのだ、という立場なわけだ。

だから今回の対策は、高速道路料金の割引率拡大、トラック運送、国内海運などへの省エネ対策導入の支援策、中小企業の資金繰り対策の拡充が中心となり、国民の可処分所得を上げる対策はない。つまり所得配分政策である公共事業はあんまり出ないぞ、と(たぶん)。

減税=可処分所得の拡大

一方、もうひとつの与党である公明党は、需要の経済学の立場なので、減税(=可処分所得の拡大)で消費を喚起しようとする。だから《定額減税なければ、経済対策をとりまとめる意味がない=公明政調会長》なわけだけれども、これは見送りされるのだろう。(追記:かと思ったら、《定額減税、総合経済対策の項目に入るが規模は示さず=伊吹財務相》だと)。

あたし的には減税は必要だと思う。それは《第2四半期米GDP改定値は+3.3%、速報値から大幅上方修正》だからであって、この情報が正しいとするならば、それは、(ネオリベ政権であるにもかかわらず)米国政府が行った需要の経済学としての景気対策(減税小切手と設備投資減税)にあると思うからだ。(株価も続伸している。勿論、先はわからないけれども)。

今回の補正予算は、経済対策とは言っているが、需要の経済学が行う経済対策ではない。なので消費喚起にはならないだろう(たぶん)。つまり効果はあまり期待できない。《中小企業の資金繰り対策、補正予算で4000億円=財務相と経産相が合意》とはいうけれど、建設業の貸し剥がしが鈍化するとは思えない。

意思の表明が足りない

そして政府が財政を発動するとき、大事なことはひとつだけなのだが、それも履行されていないことで効果は半減するだろう。その大事なこととは、景気を良くするぞ、という政府の強い意思の表明である。

先の杉本財務次官発言に、その「意思の表明」はみられない。つまりは福田さんにもそのつもりはない、ということなんだろうが、意思表明のない経済対策の効果は半減するのである。そのことで、結局はこの経済対策に使われる税金も無駄金(税金の無駄遣い=バラマキ)になってしまうのだろうな、と思うし、自民党の経済対策は小泉さんの時の選挙的成功体験に縛られていて(経済対策的には破綻しているのに)、フレキシビリティを失っているように思う。都市部の浮動票がそんなに大切なのだろうか。

Written by 桃知利男のプロフィール : 2008年08月29日 08:13: Newer : Older

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コメント

公共機関の入札制度こそ 安かろうの民官企業の受注と切り離す発想が、財投に課せられた使命である、社会と経済システムを進化発展させるはずです。

財政支出は 経済の波及効果、乗数効果を目的とした財政学的考え方は 今や昔でよいのでしょうか?

入札システムの受注単価とは別に、他の企業や産業への波及の予測を加味すれば良いのです。
これは、発注者側も勉強が必要ですし、受注者側も勉強が必要になります。
こういう積み重ねが 公共事業の力を復活させる役割と健全性をもたらすと思います。
簡単にかきましたけど、
どうでしょうか?

投稿者 桜の花 : 2008年08月29日 09:52

>桜の花さん

コメントありがとうございます。
所謂、構造改革の人達は、長期的には市場の需給が均衡すると考えますから、潜在成長率の上昇(総供給曲線の右方シフト)が不景気脱却の目標になります。つまり供給が伸びさえすれば需要は自然に発生するという前提ですね。

しかし今のような消費不況に対して、需要は如何に生まれるのか、それに即した商品を如何に創造するのか、そのための心的エネルギーを如何に喚起するのかは、まったく無策なのです。

今の政府は、如何にして内需を拡大するのか、が問われている、と(あたしは)思うのですが、今回の経済対策にその視点はないのです。ようやく減税がもりこまれたようですが、それは生きるための減税かもしれませんが、GDPをいくらかは押し上げるでしょう。

内需の喚起がなければ、公共事業は必要なくなります。公共事業は、基本的には内需のためのものです(インフラとしても、お金の流れにしても)。地方が元気だというのは、内需が活発だということです。

内需を刺激する経済対策を、バラマキと言われてしまう辛さがここにはあります。この緊急時に、この手が使えないは辛い(米国さえ使っているのにです)。

それはまるでオオカミ少年のパラドックスなのですが、公共事業という産業(政・官・業)が自ら生み出したツケのようなものかもしれません。特に政治家は引け腰ですね。

投稿者 ももち : 2008年08月29日 15:23

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