ゲゲゲ展
ゲゲゲ展


午前4時30分起床、浅草はくもり。昨日は銀座松屋まで出掛け、水木しげる米寿記念の「ゲゲゲ展」を見てきた。

河童の三平あたしは熱心な水木しげるファンではないし、「ゲゲゲの鬼太郎」も、映画になったものを一度見ただけという、つまりただの通りすがりのようなものである。

ただそんな人間が見ても、水木しげる氏のペンタッチは今も昔も変わらないように思える。一見密画のように見える背景に(これを略画だというのは少々勇気がいる)、これまた本当の略画の妖怪達がいる。

これは、凄い絵だな、と思う。

大森荘蔵氏が言ったように、略画的世界観とは、近代科学成立以前の物の見方、すなわち非科学的、呪術的、擬人的、アミニズム的と云ったマイナス・イメージをもって貶められている世界観のことであり、ずばり水木しげる氏の書く妖怪達の世界のことである。

しかしマイナス・イメージとは云っても、今じゃ水木しげる氏の描く世界を、誰がマイナス・イメージに貶めようとして語れるだろうか? 今や彼の世界は立派な正のイメージで成り立っている。

水木しげる氏が一生かかってやってきたものとは、彼の持っているマイナス・イメージをプラスに変えたことだろう。「ゲゲゲ展」はそのことだけを知らしめるためにあるようだ。