鳥房
午前4時起床。浅草はくもり。昨晩は鉄蔵さんに誘われて「平日立石」。京成立石駅で待ち合わせし向かったのは「鳥房」である。
午後7時少し前、店は既に満席で、あたし達の前には(怪しい関係だとしか思えない)カップルが、ベンチシートに座りビールを飲みながら席が空くのを待っている。
あたしたちは、ただでさえくそ暑い中、黒い油のつららができた換気フードからでてきた、鶏を揚げる匂いと熱気の直撃をうける狭い路地で、汗だくになりながらしばし待つのである。
それは、流石に立石!なんだろうが、あたしゃ立ち眩みがした。そのうち、あたしらの後には5,6人の待ち人ができ、そう、この店は繁盛しているのだ。
店内の「街的」
暫くして店の中に入れば、そこは冷房がきいていて、(暑くて暗くて脂臭いところにいたせいだろうが)外にいるよりも格段に快適且つ明るい。気分は一挙に晴れやかになる。食うぞ!という気分が盛り上がる。
店はカウンターと小上がりというか座敷があって、けっして広くはないけれど、この感じは嫌いじゃない。座敷へ通され胡座をかくその狭さは、岩見沢の三船を思い出させるが、けれど三船ではみたこともない女性だけの客や、子供連れの客がいたりして、この店はどこか女系(子宮的構造)なのである。
この子供達は、この店で鶏の味を覚え、それをパトリとして育つんだろな、と思えば、まあ(あたし同様)ろくな人間にはならないかもしれないが、面倒臭い大人には育つだろうな、と思う。
そして満員の店を切り盛りしているのは、その面倒臭い大人が育ちすぎたような「おかあさん」4人なのであって、ただでさえ無敵状態の「おかあさん」が4人もいるのだから、この店は無敵の4乗である。(たぶん)立石最強の店だろう。それも子宮的構造には違いないのだが、しかしあんまり母性を感じないのは、やっぱり「おかん」だからか。
鶏の丸揚げとぽんずさし
それはともかく、ビールと鶏の丸揚げを頼む。「おかあさん」は、今日は580円と550円、と。つまり鶏のサイズによって値段が違うのだろう。もちろん「時価」であるので毎日値段は違うのだろうが、あたしたちは580円の大きい方選び、お新香とぽんずさし(530円)を追加した。
鶏の丸揚げは「ばらし方」がある。鉄蔵さんは「おかあさん」にちゃんと教えを請うていたが、あたしは余裕をかまして写真を撮っていた。なぜ余裕なのかというと、あたしは鶏の丸揚げのばらしは経験があるのだ。それは勿論「鳥房」ではない。足利の「和作」と岩見沢の「鳥勢」だ(和作は丸揚げじゃないけれど)。
しかしこの痛風の方(あたしのことだ)なら飛んで逃げそうな鶏の丸揚げの旨いこと。熱いうちに食べましょうなのである。特に首から上半身の骨の間にある細かい肉があたしは好きだ。そんな処ばかりほじくり返すように食べているものだから、まるで毛ガニの宴会状態で、あたしは終始うつむいて食べて飲んでいた。
しかしそれもやがて限界になり、(飲むと)小食なあたしは、案の定モモの部分を残してしまったのだ。※1 けれど、残った丸揚げはちゃんと持ち帰りができるのがこの店の流儀らしく、あたしは残りを持って帰ってきた。それもそのはずで、鳥房は広い通りに面した処ではテイクアウトの店なのである。
★★★★☆ 4.0 葛飾区立石7-1-3 03-3697-7025 営業時間 16:00~21:00 定休日 火曜日 ![]() |
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Comments [4]
No.1ryogoさん
いやー旨そうですわ!
まだ朝ですが、今夕は鳥勢のから揚げとビールに決めました。
なんとなくこの店に愛着を感じるのは、座敷の狭さは三船的で
かあさん4人組みは雷電的だからですかね?(笑)
ちなみに「ぽんずさし」とは如何なる料理なのですか??
No.2ももちさん
>ryogoさん
>かあさん4人組みは雷電的だから
あはは、その通りですね。岩見沢的なんですよ、この店は。
>ぽんずさし
たぶん、鶏のささみを軽く湯通しして(外は白くて中は生)、刻んだ葱をたっぷりと振りかけたうえからポン酢をかける。
そんな感じですかね。
しかし岩見沢には鳥勢がありますからね。
この時期、唐揚げでビールはたまりませんね。
No.3パクパクさん
はじめまして。
>
鳥房の鶏の丸揚げは呪術だ。
まったくそうおもいます。
誰も真似ができないとおもいます。
ワインにも、日本酒にも合うとおもいます。
偉大です。
No.4ももちさん
>バクバクさん
コメントありがとうございます。
私も偉大だと思います。
東京ではほぼ無敵でしょう。