結局、「お前の妹(姉さん、母さん)、すぐにやらせてくれるって話しゃないか」などといった罵り文句は、「〈女性〉は存在しない」という事実、ラカンの言葉を借りれば、彼女が「完全ではない」、「完全に彼のものではない」という事実を、下世話な言葉で表現したものである。「女性は非-全体である」という命題は、女性ではなく男性にとって耐えがたい。それは、男性の存在の内、象徴界における女性の役割の内に注ぎ込まれた部分を脅かすのである。この種の中傷に対する男性の極端な、全く法外な反応――殺人を含む――を見てもいいだろう。これらの反応は、男性は女性を「所有物」だと見なしている、という通常の説明で片づけられるものではない。この中傷によって傷つけられるのは、男性がもっているものではなく、彼らの存在、彼らそのものである。関連する命題をもうひとつ紹介して、ドン・ジュアンに返ろう。「〈女性〉は存在しない」という命題を受け入れるなら、スラヴォイ・ジジェクが言うように、男性の定義は次のようなものになる――男性とは「自分が存在すると信じている女性である」。
from アレンカ・ジュパンチッチ:『リアルの倫理―カントとラカン』:p157
フレーズ 一覧
端的にいって、現在の教育システムは、「去勢を否認させる」方向に作用します。
どういうことでしょうか。まず「去勢」について簡単に説明しておきます。去勢とはご存じのように、ベニスを取り除くことです。精神分析では、この「去勢」が、非常に重要な概念として扱われます。なぜでしょうか。「去勢」は、男女を問わず、すべての人間の成長に関わることだからです。精神分析において「ペニス」は、「万能であること」の象徴とされます。しかし子どもは、成長とともに、さまざまな他人との関わりを通じて、「自分が万能ではないこと」を受け入れなければなりません。この「万能であることをあきらめる」ということを、精神分析家は「去勢」と呼ぶのです。
人間は自分が万能ではないことを知ることによって、はじめて他人と関わる必要が生まれてきます。さまざまな能力に恵まれたエリートと呼ばれる人たちが、しばしば社会性に欠けていることが多いことも、この「去勢」の重要性を、逆説的に示しています。つまり人間は、象徴的な意味で「去勢」されなければ、社会のシステムに参加することができないのです。これは民族性や文化に左右されない、人間社会に共通の掟といってよいでしょう。成長や成熟は、断念」喪失の積み重ねにほかなりません。成長の痛みは去勢の痛みですが、難しいのは、去勢がまさに、他人から強制されなければならないということです。みずから望んで去勢されることは、できないのです。
人間の幸・不幸とか、人生の目的はなにかというのは、若いときに考えることです。
長い周期で「人生」なんて言うんだけれど、年とってから「人生の目的は何か」なんて言って、それは知ったこっちゃないよというか、老い先短いんだからもうどうしようもないじゃないか、と。
だから、僕の実感からは、年をとったら長い周期でそういうふうに考えるのをやめることではないか、と思っているわけです。そういうことはごくごく短い周期で考えればいい。
そのかわり、もし、抽象的に、あるいは論理的に、死とは何かとか、老人とは何かということを考える場合には、とことんまで考えるべきだと思います。また、考えればいいと思うんです。でも、それは実感として日常にある幸・不幸とか、嬉しいとか嬉しくないということとは関係のないことです。関係ないこともないかもしれませんが、それは、頻繁に移り変わってしまうことです。
from 吉本隆明:『幸福論』:p23~24
人間が「同じ」わけがない。歳をとり、ついには死ぬ。どこが「同じ私」か。諸行無常と古人がいったとおりなのである。いつまで経っても同じなのは、情報なんですよ。でも人間は情報じゃない。それを取り違えたから、言葉が重いような、重くないような、変なことになったのである。変わらないのは私、情報は日替わりだ。などと思ってしまう。とんでもない、百年経っても、今日の新聞はそのままですよ。
from 養老孟司:『読まない力 (PHP新書) 』:p8
自民党の小泉元首相は12日夕、党本部で開かれた「郵政民営化を堅持し推進する集い」の役員会で、麻生首相の郵政民営化を巡る一連の発言を厳しく批判すると共に、定額給付金事業を盛り込んだ2008年度第2次補正予算関連法案の衆院での再可決に慎重な姿勢を示した。
(中略)
この日の会合で、小泉氏は、麻生首相が5日の衆院予算委員会で「郵政民営化に賛成ではなかった」とした発言などについて「怒るというよりも笑っちゃうぐらい、ただただあきれてしょうがない」と酷評した。さらに首相と10日に電話で会談した際、「首相の方針に若手が批判的な意見を出すと『後ろから鉄砲を撃つな』と抑え込みがかかるのに、衆院選でこれから戦おうという人に前から鉄砲を撃っているじゃないか。発言には気をつけてくれと伝えた」ことを明らかにした。 from 首相の郵政見直し発言、小泉氏が酷評「笑っちゃう」 : 政治 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
自民、「公共事業削減」「社会保障抑制」3年凍結要求へ
自民党は2日の総務会で、国の予算に関し、公共事業関係費を前年度比で3%削減し、社会保障費の自然増を毎年度2200億円抑制する方針を、今後3年間は凍結するよう麻生首相に求めることを決めた。
この方針に沿って政府が策定した2009年度予算案の概算要求基準(シーリング)も見直しを要請する。世界的な金融危機と深刻な景気悪化を受け、小泉政権が打ち出した財政規律重視の方向性の転換を求めるもので、今後、議論を呼びそうだ。
こうした対応は、細田幹事長ら党四役が決めて総務会に報告し、了承された。
笹川総務会長はその後の記者会見で、財政出動を増やす場合の財源について、「建設関係(など公共事業関係)なら建設国債(発行)だ。生きていくためには仕方ない」と述べた。
政府・与党は、社会保障費の抑制方針を見直す場合、たばこ税の増税で賄うことを検討している。ただ、政府内には、財政規律を保つ観点から、こうした方針転換に慎重な声もある。 (2008年12月2日14時15分 読売新聞)
「銀座線に乗って、渋谷から浅草まで移動する間に国境がある気がして。多分、それは銀座あたり。」
「そこから先はパスポートがいるんですよ。六本木では、どういうブランドがヒットしているから、なんてことが話題に上がっているのに、浅草では、来年のはんてんをどうするかが真剣に話し合われている。」
from 東京新聞 2008年11月20日22面