改革の実行にあたって、私は「自立と共生」を基本に、政策を実行してまいりたいと思います。老いも若きも、大企業も中小企業も、そして都市も地方も、自助努力を基本としながらも、お互いに尊重し合い、支え、助け合うことが必要であるとの考えの下、温もりんおある政治を行ってまいります。その先に、若者が明日に希望を持ち、、お年寄りが安心できる、「希望と安心」の国があるものと私は信じます。(北海道新聞:2007年10月2日:5面)
共生
福田さんのキーワードは「改革」「自立」「共生」ということになるだろう。
いいとこ取りのような感じもするが、それは悪いことではない。
共生とは、「老いも若きも、大企業も中小企業も、そして都市も地方も」なのである。
それは小泉さんが相反するものとしてつくりだした対立である。
それを、どこかで止揚しようとする。
それは、そうするしかない、ということだ。
改革
改革とは、開発主義システムの終焉を意味するものであることは、福田さんもかわらない。
つまり、人口減少社会の到来、少子高齢化に伴う社会保障費の増大、内外経済の構造的な変化、地球環境問題などに対応するために、時代に適合しなくなった制度や組織は改めるということだ。
その対象は、官僚制にあることも、かわらない。
自立
「自立と共生」というとき、その自立は、単なる自助努力や個人主義ではなくなる。
「共生」と言うとき、その視野には〈他者〉がいる。
〈他者〉がいることで、そこには集団―共同体が見えてくる。
つまり、「人-間」。
「人-間」であれば、贈与というシステムが機能し始める、ということだ。
であればここで言う「自助努力」とは、「種の論理」における、個と種の関係に他ならなくなる。
ちょっとだけ灰色
それで思ったのは、福田さんはちょっとだけ「灰色」であるな、ということだ。
人間とか人生とかの味わいとい
うものは、理屈では決められない 中間色にあるんだ。つまり白と黒 の間の取りなしに、そのもっとも 肝心な部分をそっくり捨てちゃっ て、白か黒かだけですべてを決め てしまう時代だからね、いまは。 人間という生き物は矛盾の塊な
んだよ。死ぬがために生まれてき て、死ぬがために毎日飯を食って ……そうでしょう。こんな矛盾の 存在というのはないんだ。そうい う矛盾だらけの人間が、形成して いる社会もまた矛盾の社会なんだ よ、すべてが。 矛盾人間のつくっている矛盾社会なんだから、それに適応したやりかたで人間社会というものは進歩させていかなきゃならない。科学的に、理論的にすべてを律してしまおうとしたら、人間の社会というものはすごく不幸なものになっていくわけですよ。必ずしも白と黒に割り切れるものではない。その中間色というものがあるということですよ。(池波正太郎)
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新編 男の作法―作品対照版 |
ただこれは、福田さんだから、というわけでもなく、今という時代、環境を考えれば、政治家としてとるスタンスはこれしかない、ということだ。
つまり時代が福田さんを選んだ。
そして福田さんと民主党の政策とは、たいしてかわらない。(変わらないことが、(神話のアルゴリズム的に)民主党に対する最強の戦略であることは、後程書こう)。