今朝一番で水戸の長谷川さんから丸干しいも(干し芋)が沢山届いた。家人は全ての業務を放棄して早速かじりついていた。私はそれを右から左へと受け流すこともできず、いつもの習慣の写真撮影ももどかしい。シャッターを二度ほど押して早速ご相伴に与った。(クレヨンしんちゃんの口調で)「ん~、いちねんぶり~」なのである。
浅草にも芋のスイーツはある、けれど干し芋はない。芋を外に干している家も見たことがない(干したら烏が全部食べてしまうだろう)。だから干し芋はスーパーで買うのであるが、しかしその干し芋はベロのようなかたちをしたものが申し訳なさそうにビニール袋に入っているのであって、その姿はどこかボンテージ(窮屈)なのである。そういうものが好きな人は多いかとは思うが、それは切り売りであることで残念ながら妖しさのかけらもない。
しかし長谷川さんの丸干し芋ときたら、姿形は小さく小太りで浅黒い肌は垢抜けしないけれど、丸のまんまのその肌触りは、妖しいぐらいにねっとりとした開放系の干し芋であることで、「もう好きなようにして」と全身で訴えてくる。
だから好きなように食べると、その粘着質の塊は歯にはからまりつくし、口の中はねっちょになるし、もうどうしようもないぐらいに妖しくそのうえ甘さに下品がない。これを肌が合うというのだろうか。そんなものはうちの近所では吉原だけであるが、あたしはとっくに引退宣言をしているわけで、だから長谷川さんが送ってくれるこの丸干し芋を首を長くして待っているのである。だからこれが届いた日は、すなわちいい日なのである。