浅草は雪が降っている。これで寒いといったら、北国の皆様には叱られそうなのだが、東京(とくに浅草)の家は、鴨長明がいう「家は夏向きにつくれ」を実践しているわけで、部屋のあたたまり具合はよくない上に、暖房器具もプアなので、寒さには弱いのである。
さて、昨晩は喜美松にでかけて(と言っても3階から1階に降りるだけ)の夕餉だった。
黒ガツ
昨晩は、珍しいものとして、黒ガツの刺身を出していただいた。ガツは豚の胃袋で、これを茹でて、冷やし、刺身にして食べる。普段は外側の黒いところ(黒ガツ)は出さないのだけれども、なぜか昨晩は、まぁ、食べてみてくださいな、と親方が出してくれたわけだ。
あたしは、酢味噌というか辛子味噌につけてガツは食べるのだけれども、コリコリとした歯ごたえもいいし、ああ、豚のホルモンだな、という臭みもいい。ホルモン好きは文句なしに好きだろうな、と思う。
たぶん普段は出していないと思うので、食べたいときには、(あんまし混んでいないときに)親方に頼んでみれば、出してくれるかもしれない。(あくまでも、かもしれない、である)。
豚レバーのたたき
それで昨晩のお目当ては、レバーのたたきだったわけで、あたしはこれが文句なしに好きだ。
こういうものの好き/嫌いは、性にあうか/あわないか、でしかないわけで、それは身体性と育った環境を持った「私」の主観なのだ。その主観の持ち主はほなならぬ「私」であって〈他者〉ではない。
だから性に合う人にとっては喜美松は国士無双なのであり、かけがえのない店であることで、ますます好きになるだろうし、性に合わない人は単純にだめだろうな、と思う。
喜美松は、ホルモン系が好き、という「私」つまり「われわれ」が集う店であることで鍛えられ、ますます進化し、さらに深化していくだろう。そしてあたしにはそれが楽しいのである。
喜美松 (ホルモン / 浅草) |
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