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福島県が指名競争入札を復活させたことを評価したい。

福島県が指名競争入札を復活 談合と決別ならず

6月20日9時0分配信 ダイヤモンド・オンライン

福島県 談合は、またも繰り返されるのか――。各都道府県で進む入札制度改革に逆行するかのごとく、福島県がこの4月から復活させた指名競争入札の高い落札率(落札価格÷予定価格×100)に注目が集まっている。

 福島県は、昨年10月から250万円を超える工事で、誰もが参加できる一般競争入札を導入。発注者が入札参加業者を選ぶために談合の温床といわれてきた指名競争入札と決別したはずだった。

 ところが、地元建設業界や自民党、公明党の後押しによって、県は今年2月に指名競争入札の1年間の試行を決定。4月からは、1000万円未満の工事を対象に年間で300件程度を見込んでいる。

 その第一弾は、会津農林事務所が5月28日に入札を行なった「復旧治山2001工事(高森地区)」。937万3350円の予定価格に対して、落札率は95.21%と高い水準で決着した。じつは、その1週間前に同名工事の宮ノ沢地区の入札も実施されたが、こちらは一般競争入札で落札率が77.85%となっていただけに、その落差が浮き彫りになった格好だ。

 加えて、約300件で試行するという指名競争入札の選定基準もきわめて不透明。同県の入札監理課が「明確な基準は決めていない。各出先機関で決めることになる」と説明するほどだ。

 一昨年、福島、和歌山、宮崎の3県で続いた談合事件。全国知事会の指針を受けて、昨年9月の時点で、今年度の一般競争入札の下限金額は250万円以上が12府県、1000万円以上は13道府県にまで広がる見通しだった。

 建設業の再編淘汰が避けられないなかで、業者の保護策へと舵を切った福島県。問題先送りは、建設業界の活性化を遅らせるだけだ。

(『週刊ダイヤモンド』委嘱記者 内村敬) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080620-00000000-dol-bus_all


《建設業の再編淘汰が避けられないなかで、業者の保護策へと舵を切った福島県。問題先送りは、建設業界の活性化を遅らせるだけだ。》というのは一方的な物言いであって、《1000万円未満の工事を対象に年間で300件程度》で業者の保護になんかなるわけはないのである。1000万円未満の工事の対象となるのは地方の小さな建設業者でしかない。

その地方の小さな建設業者の淘汰再編を言うのなら、それは地方、地域社会の「あり方」を再構築しなくてはならないということなのであって、つまりは開発主義に代わるシステムを地方は既に持っていなくてはならないということだ。

しかし残念ながら、今行われているのはやみくもな(背に腹は代えられない)ハードランディングでしかなく、それは「あり方」ではないし、なにも提示してはいない。かといって地方がそれを発明できる余力もない。言われているのは「合併」と「経費節減」と「自助努力」か。

その逆風をまともに受けて、(公共事業に依存してきた)多くの地方は消費不況を深刻化させ、GDPを(地方の)内需が下方に引っ張り続けている。そして地方は経済的に疲弊しているし、なによりも地方の生活には安定感がなくなってしまっている。

それを「痛みを伴う構造改革」等とトリッキーに言った人もいたが、それじゃ痛みはいつ無くなるのか、といえばこの人たちの理論では、構造改革が徹底されるまで続くのである(今の不況は構造改革が不十分だからなのだ、彼らからすれば)。

「壊せば生まれる」と考えるこの人達は、自分は痛みがこないところに居てそう言っているに過ぎない。だから今の政治にはまるっきし生活感というもが欠如している。生活感を伴わない政治は政治ではないのである。市場がすべてを解決してくれるなら、そもそも政治なんていらないのである。

あたしは今回の福島県の試行を、(たとえば)地域の防災等を考えたときの最もコストの安い方法の模索だと評価したい。災害時の対応は自衛隊にやらせておけばいいという意見もあるだろうが、岩手・宮城内陸地震をみても、地方の(特に非都市部)での災害発生時直後の活動は、地元の建設業界のボランティア(自主的な)活動をなくしては成立しないのが実情なのである。

そして多くの場合、彼ら(地方の建設業界)はそれを無償で行うのである。昨日は九州で大雨が降ったが、街が水没しないようにポンプアップをしてる地元の業者はちゃんといるのである。しかし今やその見返りはない。報道もされない。つまり交換どころか贈与もない。なのに彼らは働いているのである。

それは交換の原理からみれば、まったく割に合わないことをしているに過ぎないのだろうが、しかしそうせざるを得ないのは、彼らに宿った地場の建設業であることのDNA(もしくはmeme)の性であって、それをソーシャル・キャピタルと呼べるなら、それをすべてお金に換算して入札でやることなど土台無理なことなのだ。

その「あるもの」をそして「壊せば二度とつくれないだろうもの」を壊してしまおうというのだから(あたしからすれば)今の流れはどうかしているとしか思えない。

所謂、大中手ゼネコンの再編淘汰の文脈と、地方での建設業のあり方を一緒にしてしまうのは間違いなのだ。今回の福島県の試行は、その意味でタダでさえ壊れそうな地方の生活を維持するための試行として考えている。

福島県に必要なのは、「なんだかわからないもの」に、つまり「おぼんのような世界」にならないように、その根拠説明を含めた情報発信と開示をすることだろう。まあそれは、公共工事という産業すべてに言えることだけれども。

Comments [2]

No.1

『週刊ダイヤモンド』委嘱記者 内村敬 と、朝日を筆頭とする(こちらでは、DO新)各マスコミに、読ませたい内容でした。当地のように7~8mも降雪のある地域では、除雪業者は無くてはならないものです。災害時だけでなく、普段の生活でも地方業者は必要なのです。今日のmomoログ、グッと来ました。単に、毎晩飲み歩いている m(__)m 親父ではない。(笑) うちの若い者が、大変お世話になり有難うございました。

No.2

>butchiさん

ありがとうございます。

世の中の「なんだかわからないもの」を「なんだかわるもの」にすること職業としている人達の想像性の貧困が、今の時代を貧困なものとしているのかもしれませんね。

特に北海道は、です。

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