日の丸酒場
6月14日の夕方、鉄蔵さんと酎ハイ街道(ロード)の散策に出掛けた。あたしは初めての場所で、鉄蔵さんは何度か来ている。なのでガイドは鉄蔵さん。〈遅れてきた者〉は先人に従うのが「街的」のルールというよりもその方がいいことが多いのである。
京成八広駅で降りて、直ぐにあるのが「日の丸酒場」だ。この日ははしごをする予定だったので、とりあえず酒は2杯までと決めてかかる。呑むのは当然に酎ハイである。
酎ハイ・下町ハイボール
酎ハイは焼酎を炭酸で割ったものだけれども、ここでは下町ハイボールと呼んだ方がピンとくる。つまり単純な焼酎の炭酸割りではなくて別にエキスが入っている。なのでビールのような色がつくのだ。
日の丸酒場で酎ハイを頼むと、カウンターの一段高いところにコップを置いて、まずは炭酸を一気に注ぎ、そこにエキス入りの焼酎を表面張力の限界まで入れてくれる。その作業はあざやかなんてもんじゃなくて、一種の芸の域だなと思う。 炭酸はキクスイ(たぶん)で泡が粗めでグッとくる。
それをみてのあたしの違和感は、炭酸と焼酎の順番が逆だってことだ。浅草の店は、まず焼酎をコップに入れて出すのである。そして炭酸は瓶ごと提供される。客は炭酸を自分で好きなように注いで呑むわけだ。それはホッピーのアジール的飲み方にもあらわれているし、喜美松のスッパ酎も同じである。
そして氷がないことだ。氷がないので、焼酎も炭酸もよく冷やしておく必要がある。居酒屋浩司で氷なしのホッピーを頼めばグラスまでキンキンに冷やしたものを出してくるのとそれは同じことであるが、氷がないことで、水増しならぬ氷増しはできない。
浅草の氷入りなら「中」(なか:炭酸は1/2程瓶に残し焼酎だけを頼む)という二杯目の頼み方もあり得るのだが、氷のない、そして炭酸が瓶で提供されない下町ハイボールは一杯飲みきりなのである。
そのどっちがうまいかといえば、それは好き好きだろうが、呑みやすさでいえば、あたしは(ヒミツのエキス入りの)下町ハイボールの方に軍配をあげるのだ。この下町ハイボールと呼ばれる酎ハイは本当によくできているのであって、それはなによりも安くて(だいたい1杯300円である)どんな酒肴にもあう。
酒肴
日の丸酒場の酒肴もどれもが酎ハイにあいそうなものが豊富に並ぶ。そしてどれもが安い。この日は香の物、空豆、肉豆腐、シメサバを食べた。そのどれもがハイボールによく合う。
品書きを見れば、ビーフシチューやとんかつまであるわけで、あー、これはここを根城にしている人にはたまらない、つまりは「街的」な酒場なんだろうなと思う。客層も違和感なく「街的」でありましたし。
日の丸酒場
採点:★★★★ |