民間調査会社の帝国データバンクが11日発表した10月の全国企業倒産集計によると、倒産件数は前年同月比13.7%増の1231件となった。比較可能な2005年4月以降では最多。建設・不動産業で相次いだ大型倒産で取引先などの連鎖倒産が発生したうえ、金融不安で銀行の融資態度が厳しくなったことで資金繰りに行き詰まった中小・零細企業の倒産が増えた。

負債総額は9790億1500万円で同約2.2倍。世界的な金融危機を背景に、大和生命保険や不動産投資信託のニューシティ・レジデンス投資法人などが倒産したため。

業種別でみると、建設業が324件で4.9%増えた。景気低迷や円高で苦しむ製造業は30.4%増の176件。小売業は6.0%増の231件、サービス業は18.0%増の203件だった。上場企業の倒産は8件だった。(2008/11/11 14:33) NIKKEINET


件数・負債総額の推移午前6時30分起床。浅草はくもり。帝国データバンクの2008年10月の倒産集計が発表になっている。

それは、「倒産件数は前年同月比13.7%増の1231件となった。比較可能な2005年4月以降では最多」なのであって、右の図の青い棒グラフを見れば、右肩あがりの不気味さだ。

先月の特徴は、倒産の中心が、負債5000万円未満の零細企業で占められていることで、524件、構成比42.6%となった。それは広義の自営業者のことに他ならず、広義の自営業者の生きることのできない社会は、町内会がしっかりしないことで――つまり帰る処がますますなくなってしまうことで――(あたし的には)気持ちがわるい。

倒産は資本主義システムの新陳代謝のようなものだ、と考えれば、倒産件数が増えることは、衰退産業が終わり、新しいビジネスが生まれることだから、さほど気にすることはない、という何処かで聞いたようなはなしになる。

つまりは構造改革論なのだが、今、そんなことを仰る人はいないだろう。つまり、構造改革が進まないから日本が不景気なんだなんて、この時期誰もいえない(ただ笑い者になるだけだろう)。

それはなによりも、あたしたちは、資本主義のシステムの犠牲になるために生きているわけではなく、自らの「シアワセ」のために、資本主義を選択しているからだ。だとすれば構造改革的資本主義(新古典主義=ネオリベ)が示してみせた、痛みを超えるインセンティブは、つまりは虚構だったということか。

資本主義のシステムの醍醐味は、多くの人々に成功のチャンスを提供できるということだろうが、それは同時に誰もが失敗のリスクを背負うということでもある。

であればこそ、失敗(倒産、破産)で絶望してしまう人を救うシステム(セーフティネット)が必要なのだ。今、失敗者の切り捨ては自殺者の増加で顕在化されているけれど、倒産件数が増え続けている中で、人々の絶望を超えて、人々を迎え入れてくれる場所はあるのだろうか。

かつて米国の圧力で、BIS(国際決済銀行)の自己資本比率を押しつけられたことで、「護送船団」と呼ばれた日本の金融システムの多くは蹉跌した。生き残った金融機関は、預金を多く集めることで自己資本比率が下がるのだから、儲からない産業(優良な貸し付け先)から離れ、投資に傾斜することになった。

特に地方銀行の多くは、地域経済の悪化から、融資ではなく、投資に走り、リーマンのサムライ債(円建て外国債)に代表されるようなリスクの高い金融商品を買い込んだ。当然に、貸し剥がし、貸し渋りが増え、地方経済の足を引っ張ってきた。

そんな中で、地方の公共事業は減少し、地方は、無理矢理、開発主義という、地方が資本主義システムへ接続する方法をもぎ取られた。そのことで、あたしたちは、例えば今起きている金融危機のような、決定的なリスクに備える基底を失ってしまっている。つまり帰る処がないのである。