モンテマーレ 大きなサラダ
モンテマーレ ランチF 1250円


下町のない札幌の下町的イタリアン

午前7時起床。浅草は晴れ。12月12日の昼餉ランチは、あたし的に世界一※1肌の合うパスタにしなくちゃならなかったので※2、札幌市中央区南1条西5丁目のトラットリア・トレンタへ出向いた。

札幌は下町の無い都市で、あるのは繁華街と、オフィス街と、高級な住宅街と、普通の住宅街だけである。あたしのところのような全然高級じゃない住宅街が地図エリアとして存在しない。だから(フツーは下町的に存在する)「街的」も地図として存在しない。街中がアジールである浅草や、御所以外全部下町の京都や、下町にビルが建っている大阪とはそれが違う。

トラットリア・トレンタは、オフィスビルの中にあり、外からその存在を確認することはほぼ不可能であって、誰かに連れていってもらわない限り、絶対遭遇不可能な店だ。もちろんあたしも(最初は)連れていってもらった店でしかなく、しかし何度か通っていることで、やがてあたしの「街的」(のようなもの)になった店である。感覚的に云えば、あたしんちと見えないパイプでつながっていて、同じ周波数を共有しているような感じ※3 、と云えばわかって……もらえないだろうな。

ランチは11時30分から、けれどこの日は少し前に店に入った。すればママさんはあたしの名前を覚えていてくれて、「あー、ももちさん」とご歓迎、その上、「昨晩は揚子江だったんでしょう」とも。あは、なのである。旅人は食べる前からなにかうれしい。

モンテマーレ ランチF

この日はパスタは少なめ+大きなサラダのFをお願いした。半年ぶりのモンテマーレである(たぶん)。 この日のあたしは、浅草的に食べようと努力した。浅草的に食べるというのは、サッサと食べてサッサと席を空ける、なのだが、なぜそうしたかというと、この後、岩見沢への移動が待っていたからでしかない。

しかしあたしのサッサは、普通の人のフツーのレベル以下の速度でしかないのであって、余所からみていれば、フツー以下で食べているようにしか見えないだろう。まあ、早く食べようが、じっくりと食べようが、トラトレのモンテマーレはうまいのであるけれど。

モンテマーレは、魚貝ときのこのパスタで、レモンをギュッと絞ってグワッシとかき混ぜて食べれば、あー生臭いは複雑にうまい!なのである(つまりこんな言葉しか思い浮かばないのだわ)。パスタの茹で加減はいつでも絶妙! なんでこんなにうまいんだろう、と頭の中が?マークだらけになったりする。

その?を指でプチッと潰すように食べ進め、最後の珈琲をグッと飲んで、入店30分、あたしの儀式ランチは無事終了。勘定を済ませ、それではよい年をお迎えください、また来年も来ます、とご挨拶。そんなラテンな気分で店を出れば、氷点下に冷え込んだ雪の札幌、滑る舗道を歩く足取りも、ペンギンのように軽いのである。

トラットリア・トレンタ
札幌市中央区南1条西5丁目
郵政互助会ビル2F
011-241-0663
 トラトレのカウンター
カウンターのオブジェ達


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※注記

  1. もちろんこの「世界一」というのは「あたしの」であって、しかしこと食べ物に関しては、オリンピックやセンター試験じゃないのだから、それは主観以上でも以下でもないのである。ただ主観というのも意外といいかげんなもので、「みんな」がうまいなどというと、なんとなくうまく思えてきたりするから厄介でもある。
  2. この「しなくちゃならない」というのもあたしのルールでしかないわけで、ほんとうは何処で食べてもいいのである。しかし何処で食べてもいいのであるは、あたし的には「食べなくてもいい」と同義でしかないのであって、だから何処で食べるかは決める必要がある。そうしないと餓死することになる(たぶん)。
  3. 札幌でこの感覚を感じるのは、揚子江・黄金寿司、(一度しかいったことのない)鮨菜和喜智 、そしてこのトラットリア・トレンタの3軒である。いずれも下町というエリアにはない。つまり札幌の「街的」は、一軒アジールとしてしか存在できていない。