下町のない札幌の下町的イタリアン
午前7時起床。浅草は晴れ。12月12日の
札幌は下町の無い都市で、あるのは繁華街と、オフィス街と、高級な住宅街と、普通の住宅街だけである。あたしのところのような全然高級じゃない住宅街が
トラットリア・トレンタは、オフィスビルの中にあり、外からその存在を確認することはほぼ不可能であって、誰かに連れていってもらわない限り、絶対遭遇不可能な店だ。もちろんあたしも(最初は)連れていってもらった店でしかなく、しかし何度か通っていることで、やがてあたしの「街的」(のようなもの)になった店である。感覚的に云えば、あたしんちと見えないパイプでつながっていて、同じ周波数を共有しているような感じ※3 、と云えばわかって……もらえないだろうな。
ランチは11時30分から、けれどこの日は少し前に店に入った。すればママさんはあたしの名前を覚えていてくれて、「あー、ももちさん」とご歓迎、その上、「昨晩は揚子江だったんでしょう」とも。あは、なのである。旅人は食べる前からなにかうれしい。
モンテマーレ ランチF
この日はパスタは少なめ+大きなサラダのFをお願いした。半年ぶりのモンテマーレである(たぶん)。 この日のあたしは、浅草的に食べようと努力した。浅草的に食べるというのは、サッサと食べてサッサと席を空ける、なのだが、なぜそうしたかというと、この後、岩見沢への移動が待っていたからでしかない。
しかしあたしのサッサは、普通の人のフツーのレベル以下の速度でしかないのであって、余所からみていれば、フツー以下で食べているようにしか見えないだろう。まあ、早く食べようが、じっくりと食べようが、トラトレのモンテマーレはうまいのであるけれど。
モンテマーレは、魚貝ときのこのパスタで、レモンをギュッと絞ってグワッシとかき混ぜて食べれば、あー生臭いは複雑にうまい!なのである(つまりこんな言葉しか思い浮かばないのだわ)。パスタの茹で加減はいつでも絶妙! なんでこんなにうまいんだろう、と頭の中が?マークだらけになったりする。
その?を指でプチッと潰すように食べ進め、最後の珈琲をグッと飲んで、入店30分、あたしの
トラットリア・トレンタ |
※注記
- もちろんこの「世界一」というのは「あたしの」であって、しかしこと食べ物に関しては、オリンピックやセンター試験じゃないのだから、それは主観以上でも以下でもないのである。ただ主観というのも意外といいかげんなもので、「みんな」がうまいなどというと、なんとなくうまく思えてきたりするから厄介でもある。
- この「しなくちゃならない」というのもあたしのルールでしかないわけで、ほんとうは何処で食べてもいいのである。しかし何処で食べてもいいのであるは、あたし的には「食べなくてもいい」と同義でしかないのであって、だから何処で食べるかは決める必要がある。そうしないと餓死することになる(たぶん)。
- 札幌でこの感覚を感じるのは、揚子江・黄金寿司、(一度しかいったことのない)鮨菜和喜智 、そしてこのトラットリア・トレンタの3軒である。いずれも下町というエリアにはない。つまり札幌の「街的」は、一軒アジールとしてしか存在できていない。