午前6時30分起床。浅草は晴れ。12月13日の
この日は
例えば海老、これは福岡産の天然物だそうだが、非常に大きな車海老で、一カンをふたつに切って供される。片方が煮きり醤油、もう片方が塩+酢橘である。煮きり醤油はまだしも(とは云っても嘘みたいにうまい海老なんだけれども)、海老のにぎりを塩+酢橘でいただくのは浅草的には地図のないことでしかなく、しかしこれが物凄くうまかたりするから、またあたしは笑うしかないのである。
つまり和喜智の楽しさというのは、真空管がトランジスタになるような楽しさ、トランジスタがICチップになるような楽しさ、つまりいつもと違うんだけれどもめざしているところは同じ、けれども回路は書き換えてみました、というところにある(ちょっと違うか)。
けれどそれを続けてしまうと客も緩みっぱなしになって逆に疲れてしまうから、ちゃんと
それであたしがこの日一番笑ったのが白子のにぎり。これは実質的なこの日の〆の握りだった。※1
白子とくれば、軍艦巻きにでもするのかなとフツーは思う。けれども和喜智は、じゅうぶんに火を通した白子を握ってきたのである。それもフワフワに緩い握り具合で。
だから、手を出してください、なのである。あたしの手のひらに、その白子のにぎりは置かれる。
それをそのまま口のなかに放り込めば、もうあなた、あはは…と笑うしかないのですよ。いったいぜんたいどうやったらこんな食べ方を考えつくんだろう。ここの親方は年中無休で寿司のことを考えているのだろうか。
鮨菜 和喜智 (寿司 / 円山公園) |
※注記
- 〆に出されたのは穴子なんだけれど、それは
玉子 のかわりに、である。