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派遣村発言、坂本政務官が撤回「実態把握してなかった」…らしい。

派遣村発言、坂本政務官が撤回「実態把握してなかった」

記者会見で発言を撤回する坂本哲志政務官=6日午前10時10分、総務省、中田徹撮影東京・日比谷公園の「年越し派遣村」について、「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのかという気もした」と述べた総務省の坂本哲志政務官(58)=衆院熊本3区=が6日、釈明会見を開き、発言を撤回、謝罪した。そのうえで「地方を活性化させるために職責を全うしたい」と語り、辞任の考えはないことを強調した。

これに対し、民主党など野党は「撤回していいというものではない。(政務官の)解任要求をしていく」(民主党の山岡賢次国会対策委員長)と反発。麻生首相の任命責任も含め追及する考えだ。

会見で坂本氏は「関係している多くの方々に不快な思いや迷惑をかけた。発言を撤回して深くおわびしたい」と頭を下げた。その上で「(集まったのが)500、600人の大人数だったので、それだけ雇用状態が深刻だとは思うが、そうではない人たちがいるのではないかと頭をよぎった。実態をよく把握しないまま発言した」と説明した。

また、学生運動を引き合いに、「『学内を開放しろ』『学長出てこい』、そういう戦略のようなものが垣間見える気がした」との発言については「学生運動の時の手法と似ているという気もしたが、思い過ごしだった」と釈明した。2009年1月6日11時22分 asahi.com


午前7時30分起床。浅草は晴れ。なんとなくフツーの営業日に戻った感じのする日だ。さて、坂本総務政務官は「あると思います」を検証しないで発言したことで非難されることになったが、これは噺家がまくらでよく使う、別に悪気はございません、だろう。坂本さんも派遣切りの問題は考えているはずだ(と思いたい)。

此の手の失言は自民党的にはよくあることだが、新年早々、野党につけいる隙を与えてしまっているのはいただけない。この原因は自民党には統一された政治理念(保守/リベラル)がないからで、自民党というのは、経済政策についても、外交についても、雇用対策についても、各自バラバラであり、勝手なことを云っている、保守なんだかリベラルなんだかわからない政党なのである。※1

そのバラバラさを束ねていたのは、反共(アンチ・コミュニズム)とパトリ主義(=地元への利益誘導)なのだが、つまり自民党とはなにかといえば、「反共」と「パトリ」の政党だとあたしは理解している※2。しかし共産主義の驚異が消え失せ、郵政民営化選挙で内部の抵抗勢力(と呼ばれる方々を)駆逐し、リベラル(というかパトリ主義)色を弱めた自民党は、とたんに思考停止の政党となった。※3

坂本さんの今回の発言をニュースで知ったとき、その思考停止が素直に表出したのだろうなと思った。悪気はないのである。しかし悪気がない分、自民党は末期症状なのである。それは自分の頭で考えていないことの表出である。自分の頭で考えてのことなら、派遣村発言は撤回しないぐらいの根性は見せるだろう(たぶん)。

今、自民党が末期なのは、オルタナティブとしての共産主義の驚異を失ってしまった結果だろう。※4 それは米国にもいえることであって、1991年のソビエト連邦の解体以後、米国は、ますます多様性を認めないユニラテラリズム(一国主義)の国となった。

しかし奢りは必ずしっぺ返しを伴う。その結果と反省が金融危機であり、オバマ大統領の誕生である(たぶん)。そしてもう一つは、みんなが使えるIT、インターネットの存在である。それは社会主義国家を崩壊させたと同様に機能している。 

※注記

  1. 図 from 独自調査で分かった「政界再編予想図」:NBonline(日経ビジネス オンライン)
    独自調査で分かった「政界再編予想図」
    >>>自民党の図を拡大する  >>>民主党の図を拡大する
  2. あたしはずっと自民党支持者の儘だけれど、郵政民営化選挙依頼、選挙は全て棄権中なのであった。
  3. 民主党も同じようなものだろう。だいたい真性の保守主義者である小沢さんが党首である民主党がなぜに自民党の対立政党を標榜できるのかがいまだに理解できていない、というか、あたしには日本の二大政党制の必要性がわからない。民主党が大都市圏/地方という対立軸上で、地方の代弁者であるなら、あたしは民主党を応援してもかまわないのだけれども。
  4. 共産党はここに来て元気である。あたしはそれはいいことだと思っている。年末にみた元気いいぞうさんも「共産党に乳頭」と歌っていた。あたしは共産党は支持しないけれど、オルタナティブとしての共産党はあっていいと思っている。
    『日本共産党も大きく変わってきている。いきなり共産主義ではなく、ヨーロッパの社会民主主義を目指すべきだと、志位さんは強調している。社会民主主義とは何かというと、例えば派遣労働者の首を切らない、あるいはそもそも派遣労働者という存在はおかしいとすることだ。』 from 暴走した自由主義の反動? 今、「資本論」が読まれる理由 | 時評コラム | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉

Comments [4]

No.1

この頃強く思うのですが、どこそこの会社は派遣を何人削減、あちらの会社は非正規雇用社員を何人首切と、主に製造業の非正規の人員削減の報道ばかりです。ところで、我々土建屋の報道はどうしてしてくれないの?以前マニア1号さんの取材リポートでも出てきたオ○○○○○白○だとか、マンション業界大手のダ・・・・・・だとか、我が北海道でも、北○組だとか、実に多くの建設業・建設関連企業が倒産しています。これらは連鎖倒産を含めて、その殆んどが正規雇用社員なわけで、こちら側の報道は、全く無いわけ???って思います。確かに正社員の仕事口が無くて、仕方なく派遣の道を歩いている方が殆んどだと思いますけど、あの上司が気に入らないとか、この仕事では自分の才能を生かせないとか、私らの年代の人間からすると、「おいおい、そんな事で辞めるのかよ!」と思える様な、派遣の方々も居るのじゃないかな?と、思います。↑の方の発言も、「お前らが勝手に、派遣の道を選んだんだろ!?」の思いが有ったのではないでしょうか?

No.2

>buchiさん

コメントありがとうございます。
あたし的には
「お前らが勝手に、派遣の道を選んだんだろ!?」
ではなく
「フリーター(派遣)しかない現実」なんだ考えるわけです。
「お前らが勝手に、土建屋の道を選んだんだろ!?」
もだからナシです。
あたしは「土建屋しかない現実」からはじめました。(笑

「雇用」の問題は面倒です。教育の問題もあるでしょうが、それも含めて、殆どは時代文脈で左右されるものでしかないですね。だから市場に任せても解決がつかない政治の問題です。

No.3

「お前らが勝手に、土建屋の道を選んだんだろ!?」
もだからナシです。

マイッタ!仰る通りですね!?
唯一つ言える事は、地場(地方)の中小の建設業は、ギリギリまで雇用を守っていると言うことです。20兆円も剰余金があるのに、多くの労働者を解雇するようなことは、こちらの業界では有り得ないでしょうね。もっとも、社員が居ないと受注が出来ない業界と、多くの株主の利益を守らなければならない業界の違いはありますが。

No.4

>地場(地方)の中小の建設業は、ギリギリまで雇用を守っていると言うことです。

その通りです。
「派遣切りは当然。」
http://www.momoti.com/blog2/2008/12/post_410.php
でも書きましたが
「多くの中小建設業は、公共事業が減る中で、まず雇用を守ろうとしたことを考えてみてほしい。」
ということです。

これはなぜパトリを護持するあたしが、地場の建設業を擁護するのかのひとつの解ですね。
これについては、別途書いてみたいと思います。

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