午前8時起床。浅草は晴れ。体調は相変わらずなので、今日は書きためておいたものを使わせていただくことにする。すいません。
お通し
居酒屋にお通しはつきもので、その値段なんか一度も意識したことはないけれど、なくてもいいと思ったことはない。けれども特別意識することもない。
喜美松のお通しは、あたしの知る限り、いつでもキャベツの千切りであって、それにスッパ目のドレッシングとマヨネーズがちょこんと皿の端にのっている。
それは特別にうまいとか、これが名物のキャベツの千切りのお通しである等と大袈裟に言いふらすようなものでもない。なにげにテーブルの上にある。
あたしがひとりで喜美松で飲むときはの酒肴はレバ刺し一人前なのだが、それはキャベツのお通しだけでは寂しいからレバ刺し一人前を酒肴に注文するのである。しかしこの日※1 は何かが逆だったのだ。
つまりレバ刺し一人前の他にキャベツの千切りがあることが嬉しかったのである。この感覚はヘンなもので、それは主役と脇役が逆転しているというよりも、主役はレバ刺し一人前であるけれど、レバ刺し一人前にお通し、それにスッパ酎があって「レバ刺し一人前」だという感覚なのである。
その感覚が、「お前がいたから俺はここまでやってこられた」と突然いいだす、よくある芝居ならば、あたしの脳みそはシミュラークルだらけのボンクラなのだろうし、ついにこの店に宿る無限小を見たぞ!等と云うのなら、あたしの脳みそは妄想に取り憑かれているだけのことだろう。お通しはただ「あんたも相変わらずだな」といっている。だからあたしも相変わらずただ飲んでいるだけのことだろう(たぶん)。
喜美松 (ホルモン / 浅草) |
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