サッシ偽装 価格競争が背景に

サッシ偽装 価格競争が背景に

住宅用のサッシメーカー5社が、防火用のサッシの性能を偽装して不正に国の認定試験をパスしていた問題で、各社は動機について「製造コストを抑えるのが目的だった」などと説明していて、国土交通省では背景に行き過ぎた価格競争があったとみて調べています。 from NHKニュース サッシ偽装 価格競争が背景に


午前8時起床。浅草はくもり。一昨日から身体の調子が悪く、発熱と頭痛が続いている。そんなしょぼしょぼした脳みそで書くブログなのでテクストの酷さはあらかじめ「ごめんなさい」なのだ。

さて、偽装サッシのことが話題になっていて、調べてみれば13年前からメーカー最大手の「エクセルシャノン」など、5社が偽装したサッシが使われたのは、全国で5500棟。このうち最も多いエクセルシャノンでは、全国4100棟のうちの4割以上が北海道内の住宅やマンションで使われているらしい。※1 せっかく安物買いで儲かったと思っていた方々は踏んだり蹴ったりだろう。

NHKの報道では、動機は正直なもので、「製造コストを抑えるのが目的」なんだそうだ。「トクヤマ」の子会社の「エクセルシャノン」は「サッシ1つにつき1万円のコスト削減が可能になった」と話しているらしいから、これはばれなきゃ美味しかったなとあたしも思う。

国土交通省は、安い輸入品が入ってくるなかで、行き過ぎた価格競争が行われ、長年、偽装が繰り返されてきたのが背景といっているが、これはしてやったりかもしれない。また彼らの仕事は増えたのだから。※2

これは「目的/目標」のはき違え、若しくは倫理の働かない市場主義のようなものなのだけれども※3、こうして役人につけいる隙を与えるから、安ければいいだけの似非マーケット・ソリューション※4 は規制緩和とはならず、規制緩和は市場を通して最大効率を達成できなかったりする。待っているのははさらなる規制なのだ。だからハイエクは泣いている(たぶん)※5

カジノ資本主義(カジノ資本主義社会では)将来何が起きるかは全くの運によって左右されるようになり、熟練や努力、決断、勤勉がだんだん評価されなくなる。そうなると(中略)

自由な民主社会が最終的に依拠している倫理的価値への敬意が薄らぐ。(スーザン・ストレンジ:『カジノ資本主義 (岩波現代文庫)』:p4)

※注記

  1. 偽装サッシ多く道内で使用(HBC) - Yahoo!ニュース 参照
  2. スティグリッツの法則
    官僚は何を最大化するのだろうか。一つの答えは、「官僚は自分の属する省庁のサイズを最大化しようと努める」、である。(Josef E.Stiglitz:Economics of the Public Sector:W.W.Norton & Company:1986)
  3. ミートホープの目的は最初から破綻していただけだ。 とか 宮崎地区建設業協会「防災マップ公開セレモニー」での基調講演用PPT。 を参照
  4. 公共事業で導入された一般競争入札がこの典型であることは『桃論』で指摘した。 
  5. つまり「自生的秩序」というやつ。ついでに書けば「社会と/経済を対立させずに、社会が経済を下支えしてきたのが日本型資本主義だということだ。これはその社会が殆ど機能しなくなった今でも一人歩きする不思議な記憶となっている。日本経済を悲観的に語る意見でも、日本人のもつ地勢的・文化的有利性(さらには日本人の優秀性などというもの)を持ちだすことはよくあることだ。例えば建設業の他業種への転換なんていう政策は、そういう下敷きを当てにしなければ、ただの役人の責任逃れか詭弁でしかなくなってしまう(たぶん詭弁的責任逃れであることで〈官製不況〉なのだろうけれども)。 from いまは亡き「日本型資本主義」を悼む―惜しい制度を亡くした……とロナルド・ドーアは言う。