桃知商店よりのお知らせ

普遍経済学入門―贈与と時間とキアスムと。2009年3月28日桃組春の勉強会資料。

2009年3月28日桃組春の勉強会資料。


事前準備:「ボロメオの結び目」

普遍経済学(全体としての経済)で多用するトポロジー(ボロメオの結び目・三位一体)のための準備体操のようなもの。ようはヘーゲル弁証法という遺物なのだけれども、純粋贈与の位置にあるのが〈欲望〉発生装置である現実界であり、「聖霊」の価値増殖の動きであること。つまりは資本主義のエンジンは人間の〈欲望〉であることの確認。

普遍経済学入門―贈与と時間とキアスムと

今回の強調は、純粋贈与を刺激し、純粋贈与から刺激を受けるものが「交換」だけなら世界は不安定にならざるを得ないけれど、「贈与」を加えることで安定すること(当たり前すぎておもしろくもなんともないけれど)。

破綻した金融資本主義の問題点は「贈与共同体の破壊」である。

贈与を破壊することで「交換」は最速となるけれど、あたしたちは時間軸を失う。

時間軸を失った経営は即時性に走り、投資家は即時的なゲインを求める。つまり株主至上主義であり、(株主至上主義の)コーポレート・ガバナンスである。

企業に時間軸が無いと、企業組織は、長期的に継続する実体(ゴーイング・コンサーン)ではなく、ただそこで利益を稼ごうとする個人の集まりにしか過ぎなくなる。

それは企業を構成する人間(従業員)観を変える。従業員はそれぞれがただ個人的な利益を求めて一時的にそこで仕事をしているだけだというに過ぎない。

つまり社員は派遣で十分なのであり、時間をかけて人材を育成するという贈与的な経営を株主は求めていないという理由で、会社組織内の「贈与」的慣習は邪魔者でしかなくなる。贈与が消える。

企業を取り巻く環境(地域社会、自然等)も、生産要素に還元できないものは単なる邪魔者になる。

だから世界は邪魔者で溢れることになる。

普遍経済学(全体としての経済)から見れば世界のすべては生産要素でしかないのだけれども。

資本主義の推進エンジンが人間の〈欲望〉である限り(というかそれ以外にあり得ないのだけれども)、その〈欲望〉を市場にただ解き放つだけなら市場は失敗を繰り返すのは当然でしかないだろう。なぜなら倫理が働かないからだし、〈欲望〉は利己的な部分を強く持つからだ。

だから市場には〈欲望〉の縛りが必要なのだし、それをハイエクは「自生的秩序」といったのだろう。その縛りが「贈与共同体」なんだろう。

そして「贈与共同体」の欠点をあたしたちは既に学習済みなのである。

つまり偶然以外に外とはつながらない。

だからIT化は、共同体性を保ちながら如何に外とつながるのかに向かう。

その方法がツイスト(ひねり)であり、キアスムであり、その活動がネットワーク化されたものとして広くて薄い紐帯(ウィークタイズ)があるということ。

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