もの食う人びと

もの食う人びと (角川文庫)

辺見 庸
1997年6月25日
角川書店
686円(税別)


午前5時40分起床。浅草は晴れ。辺見庸の『もの食う人びと』を読んでいる。

あたしの今年の誓いは「本を読むこと!」なのであり、昨年1年間の読書量といえば、その殆どを漫画が占めていたのだ(読んだ量そのものも少ない)。それで今年は本を少しでも読もうと思い、読書に取り組み始めた(8月7日の暑気払いの誓いはこれだった)。

『もの食う人びと』は今から15年以上前に書かれたもので、多くの社会主義国家は資本主義国家へ解放(?)されたし、まだ民族独立運動なんかも盛んなころの話だが、そういう時代は10年経ってから読むのがよい、というのは本当なのかもしれない。

10年経つと、あたしの短い人生でも興味を持って読めるは確かだ。ダッカの残飯、ピター、猫用缶詰、ソムタム、キャッサバ、ジュゴン、スズメ 、ドイツの囚人食、旧ユーゴ難民向け援助食料、ソマリアPKO各国軍部隊の携帯食 and etc. みんな食い物である。その食い物についての細部の出来事が大切に記載されている。

「人間社会の正邪善悪の価値体系が、主として冷戦構造の崩壊により割れちらばり、私たちはいま大きなテーマのあり方を見失っている。現在のなにを描いても、浮きででくるは、体系なき世界の過渡的一現象にしか過ぎないのではないか。」注1のは確かだろう。

※注記 

  1. P347 「あとがき」より