「土建業議員が減少し全議員の7.5%に」という記事を鵜呑みにしてはならない。

午前6時30分起床。浅草は晴れ。

体調もだいぶよくなった――体温は5日ぶりに35度台に戻った――ので、今朝は新聞詠み(しんもんよみ)からはじめようと思う。

<土建業議員>減少、全議員の7.5%に 6都府県でゼロ」(Yahoo!:毎日新聞)

都道府県議会で本人または親族が公共事業関連の土木・建設会社の役員などに就いている「土建業議員」の割合が、全議員の7.5%を占めることが、毎日新聞の全国調査で分かった。03年2月の前回調査から2.2ポイント減。小泉改革によって公共事業が減ったことなどが影響したとみられる。ただ、18道県で1割を超えており、談合事件で前知事が逮捕された福島県など9県では増加するなど、「政・業」の結びつきの根強さも示した。

この記事の意図はどこにあるのだろうか。

要は、公共事業の「政・業」の結びつきの根強さの指標として、「土建業議員」数が使える、と毎日新聞は言いたいのだろうが、はたしてそうなのだろうか。

この記事は是非全文を読んでいただきたく思う。そうすれば、

18道県で1割を超えており、談合事件で前知事が逮捕された福島県など9県では増加するなど、「政・業」の結びつきの根強さも示した。

というような指摘が案外的外れどころろか、民主主義の根幹さえ否定しかねない発言であることに気づかれるはずだ。

つまりだ、「土建業議員」とは言っているが、彼(女)らは正式な手続きを経て議員になったのであり――つまり選挙で選ばれて議員になったのであり、被選挙人として、正式な手続きを経て議員として選ばれることに、自らの、若しくは親族の職業が土建業であることは、どのように関係するのだろうか。

この記事はこの部分を「」(カッコ)でくくって棚上げしてから議論を始めることで、典型的なリバタリアニズム的(自己正義的な、一方的な)意見となってしまっている――リバタリアニズム的については「格差社会はいいことだ?」を参照して欲しい。

そして、18道県で1割を超え、談合事件で前知事が逮捕された福島県など9県では増加しているのは『「政・業」の結びつきの根強さも示した』のではなく、(あえてこの言葉を使うのであれば)「土建業議員」選んだ地域の方々が、彼(女)らを必要としているからであろう。

ではなぜ必要なのだろうか。 

ここは百歩譲って、記事中にある大阪大大学院の斉藤弥生助教授(行政学)の意見を援用してみよう。つまり、

「新しい産業構造の選択肢が示されておらず、本音では公共事業の拡大を望む地方議員は多いはず」

は、地方議員が多いのではなく、本音では公共事業の拡大を望む地方の有権者――つまり「地方」は多いはずであるだろう。

ではなぜそうなのか――そこに切り込むのが新聞の仕事だろうが、そんな使命感を持った新聞人も絶滅危惧種ということなのだろう。