西都市のうなぎの入船は何故人をひきよせるのか。

引船のうなぎ
入船のうなぎ
 撮影したカメラ SH903i+Orton風 by Picnik 

上定食、呉汁、ぬた、肝焼、香の物付き午前5時起床、浅草はくもり。昨日は宮崎県産業廃棄物協会の安在さんにお世話になり、宮崎県の超有名店、西都市のうなぎの入船でランチとした。うなぎ定食(上) 2940円。呉汁、ぬた、肝焼、香の物付き。肝吸いの代わりに呉汁がつくのは浅草的には非常に珍しい(というか皆無)のだが宮崎的には普通のことだそうだ。

背開き蒸しなし

このうなぎの蒲焼は、江戸のうなぎに慣れた私にとってはちょっと変わっていて、背開きなのは東京と同じだが、蒸しはなしで甘いタレで焼き上げている。なので少々固め。つまりさき方は関東風なのだが、焼き方は関西風なのである。そうして焼かれた鰻は程よい大きさであって、甘めのタレがご飯によくあう(鰻は大きいからうまいわけではない)。

待合室一戸建て 

引船の待合小屋入船には店舗とは別に待合室(というよりはちゃんとした建築物-冷暖房完備)があって、つまり待つのは当たり前の超繁盛店と聞いていた。

なので午前11時前(開店前)に訪れ、予約をしてから(予約番号4番)西都原考古博物館へと向かったのだがそれは正解だった。西都原考古博物館の見学を終え、12時頃に店に到着するとそこは噂通りの大混雑。

こんなうなぎや、見たことがない! 

待合小屋は人で溢れ隣の神社の木陰で待つ人も。それを病院のように拡声器で呼び出ししてくれる――外に向かって。しかし私たちは予約番号4番のおかげで、優先的に一階の座敷に居場所を確保することができたわけだ。

入船の子宮的構造

入船と参道と鳥居 南方神社

この入船の集客能力の高さは料理の質の高さそのものにあるということは間違いなく、 しかしあたしは入船の立ち位置にただならぬものを感じてしまっていた。

それは入船に来るには鳥居をくぐってきたということであって(写真を拡大表示していただければ、入船と参道と鳥居の位置関係がわかるかと思う)入船は南方神社の直ぐ隣に位置する。

寺社仏閣がもつ子宮的構造を利用するのは常套手段であって驚くにはあたらないのだが(浅草寺における仲見世のように)、しかし入船の店内に一歩入れば、子宮は南方神社ではなく入船ではないのかと感じてしまう。つまりここでの関係は、入船は表戸になっていて、南方神社は後戸の神となっているということである。

入船という母性

もちろん入船は神様などではなく贈与共同体としての企業であり、世話をするものがなにかを知っている――鰻も鰻を食べる人間ももちろん自然である。しかしそのことで入船はまるで子宮のように機能してしまっているのだ。

企業の三位一体モデルそれはこの店の雰囲気、特に接客(客扱い)に表出してしまっていて、その接客はさりげないのだけれどもどこまでも優しく居心地はとてつもなくよいのである。

それは母性である。

こんな繁盛店でここまで客扱いがよい店は滅多にないだろう。入船は料理もさることながら、その母性的接客こそ注目すべきだろうなと思う。

たぶんそれはとりたてて意識したものではなく、ましてやマニュアルがあるわけでもなく、自然にできあがったものなのだろうが、その母性を増幅させているのは南方神社の精霊性(純粋贈与)なのではないだろうか、というのが私の見立て。精霊の後戸を持った子宮的構造、この構造の強度は恐ろしいまでに強い!

入船 (うなぎ / 西都市その他)
★★★★★ 4.5