豚カラアゲ
豚カラアゲ(豚の唐揚げ)


マグロとイナダの刺身午前7時30分起床。浅草はくもり。6月28日、つまり植木市の夕餉は、ニュー王将に刺身を食べに出掛けた。

これは不思議な言い方かもしれない。なぜならニュー王将は、浅草最強のカツ丼の店であり、メンチカツの店であり、つまり揚げ物のうまい店であるからだ。

だから、ニュー王将を語るなら、カツ丼を食べに出掛けたとか、カツ煮やメンチカツで一杯やりに出掛けた、というのが本当なのであって、刺身を食べに、という修辞句をニュー王将につける人はほとんどいないはずだ(たぶん)。

けれどニュー王将の刺身は(あたしは)うまいと思う。刺身が食いたいとなると、まずニュー王将になってしまうのだが、これはいったいなんだんだろう、と考えてもわかるはずがないのである。

ニュー王将はこの日も笑い声に溢れ、活気に満ちていた。高村光太郎が米久で書いた詩をそのままこの店に捧げたいぐらいである。

ぎつしり並べた鍋台の前を
この世でいちばん居心地のいい自分の巣にして
正直まつたうの食慾とおしやべりとに今歓楽をつくす群衆、
まるで魂の銭湯のやうに
自分の心を平気でまる裸にする群衆
from 米久本店の牛鍋で夕餉。(ひさご通り:浅草2丁目)

落ち着いて飲み食いする店ではけっしてないけれど、そのカオスは、まさに一軒ホッピー通りなのであり、その意味で5丁目のアジールと(あたしは)呼んでいる。

この日は刺身でビールを1本飲んで、それから「豚カラアゲ」(豚の唐揚げ)を頼み、ビールをもう1本飲んだ(あたしの夕餉はこれだけで、まあいつもこんなものだ)。それにしても、豚の唐揚げは不思議な食べ物である。トンカツではなく唐揚げなのだ。トンカツに使うロース肉を唐揚げにしてある。それにレモンを搾り、マヨネーズで食べると不思議にうまいのである。

和洋食 ニュー王将
台東区浅草5丁目21-7
03-3875-1066

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