羽田空港でランチをとる、ということは滅多にないことだが、今日は、出発まで1時間程余裕があったので、第2ターミナルビル北ピアのカフェ&スモーキングラウンジでランチとした。
この店を選んだのは、勿論喫煙可能だからで、はっきりいって料理や珈琲がうまいからではない。それはある意味(あたしの)合理性のみでの選択でしかないのだが、もしこの店がなくなったとしたら、あたしの落胆は並大抵のものではないだろう。
裏浅草的喫茶店社会で生活しているあたしは、タバコと珈琲は、身体的な習慣になっていて、それは、存在することの習慣のひとつなのである。つまりその時間は、α波に支配され、あたしの精神は安定する。
それは単なる依存症であり、ニコチン&カフェインヘタレでしかないけれど、そういう生き方しかできない人間もいるわけで、そんな人間にとって、今という時代は生きづらい。
公共の場所で、椅子に座って、ゆっくりとタバコの吸えるところはまずない。ましてや珈琲を飲みながら、簡単な食事もとれて、という条件をつけたら、それはほとんど絶滅危惧種なのである。
ついこの間までは普通にあったものが、そして近所には普通にあるものが、普通にない世界にあたしは今生きていて、それは普通の人間なら、発狂ものだろう。しかし今や、喫煙者は普通の人間とは見なされていないのであって、普通じゃない人が発狂しようがどうしうようが、(元々普通じゃないのだから)どうでもいいことなのである(普通の人びとに迷惑をかけない限りにおいてだが)。
それはともかくも、この店は、裏浅草的フツーの残骸を、なんとか羽田空港第2ターミナルビルに留めていることで、もしこの店がなくなったとしたら、あたしの落胆は並大抵のものではないのである。