[ワシントン/ニューヨーク 29日 ロイター] 米下院本会議が29日、7000億ドルの金融安定化法案を否決したことを嫌気して各国の株式市場が急落した。(略)
各国の中央銀行が銀行に貸し出しを促すために金融システムに数千億ドルを注ぎ込んでも、世界の短期金融市場は機能不全の状態が続いている。テミス・トレーディングの共同取引マネジャー、ジョー・サルーツィ氏は「市場の不安は途方もなく膨れ上がり、世界中に拡散している。もはや、米国だけの問題ではない」と述べた。
下院本会議は29日、金融安定化法案を反対228票・賛成205票で否決した。特に共和党議員が11月4日に迫った大統領選を前に巨額の公的資金の投入に難色を示した。
スタンダード・ライフの上席株式トレーダー、スティーブン・バーティ氏は「解決策にたどり着けなかったとは信じ難い。法案が成立しない場合に極めて悲惨な状態になることは予想されていた」と述べた。
クルーグマン先生がいうように、アメリカには大人はいないってことなのかね。あたしも「解決策にたどり着けなかったとは信じ難い。法案が成立しない場合に極めて悲惨な状態になることは予想されていた」な人なので、まさか米金融安定化法案が否決されるとは思ってもみなかった。それは町内会的にはあり得ない選択なのである。
それは市場も同じで、その落胆は株価の急落というかたちで表徴され、777ドル安の過去最大の下げ幅を記録した。市場の反応は意外とわかりやすい表徴なのである。
しかしこれって、まるで郵政民営化なんだよな、と思うのは、政府がどこまで正しくて、どこまで間違っているのか、民意がどこまで正しくて、どこまで間違っているのかはわからないからでしかなくて、ようは骰子一擲だってことだ。
民主主義(というか近代化)っていうのは、マラルメが予感したように、こういう選択方法しかないわけで、「みんな」の意見は正しい、というしかない。ただ、今の経済というのは、けっして民主主義のルールで動いているわけではなくて、言ってみれば「合成の誤謬」でできている。
一人ひとりが自分に有利だと思ったことをやってみても、それは結果的には美人投票でしかなく、それが採用された結果なんてだれも気にしちゃいない。そのことで、「みんな」の意見はけっこういい加減(というか無責任)なのだ。だから町内会的にそれを調整するシステムが必要だ、と「街的」なあたしは思うのだ。
まあ、この結果を出した「みんな」は、自分は責任をとらないで済むって思っているかもしれないけれど、最後のツケは「みんな」にいくのだけれどもね(それが民主主義ってものだ)。これでレバレッジ金融(つまり英米流の金融資本主義)はとどめをさされたわ(たぶん)。