深川のお米。ふっくりんこ(JAきたそらち ぬくもり米産協同組合)
深川のお米。ふっくりんこ
午前4時起床。浅草はくもり。今年も小川さんから、(あたし的に)日本で一番うまい米である「深川のお米。ふっくりんこ」が届いた。これは今月初め、空知に滞在した際に、小川さんにおねだりしていたもので、そのとき空知地方の稲刈りはほぼ終わりに近づいていた。
今年の空知は豊作(北海道の作況指数105…たぶん)なはずなのだが、それは米価の低下を意味するのだろうから、稲作農家の皆さん的には、なんだかなー、かしもしれないが、食べる方にしてみれば悪いことじゃない。
事故米の問題等もあって、食の安全性に関しては過剰に神経質になっている今日この頃、国産の米は(かなり)信頼のおける主食なのであり、もちろんJAきたそらち ぬくもり米産協同組合の「ふっくりんこ」に関しては、なんの心配もしていない。それは「ふっくりんこ産地サミット公認シール」が証明している(たぶん)。
その「ふっくりんこ産地サミット公認シール」を見れば、今年はJAピンネ ふっくりんこ生産組合が仲間入りしていて、それは空知管内、新十津川町と浦臼町があるJAだ。「ふっくりんこ」はこうして供給量を増加させていくのだろうが、このうまい米の生産量が増えることは、空知にとっては悪いことではないだろう。
財政状態が基準より悪化している43の自治体には、空知だけで6つの市町があったりするのだけれども、いい米がとれるところは(町内会とはちょっと違う原理で)大丈夫!なのである。なぜなら、農業というのは、基本的に「共同体の原理」が働いているのだが、それだけでは「ふっくりんこ」は生まれ得ないからだ。
共同体の原理
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共同体は農村的「有縁」の世界。安定した同一性をそなえた空間。
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農業民。定着。土地に人々は結びつき、それを土台として権力は成り立つ。
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人々を結びつけるさまざまな「縁」でできている。
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人の社会的地位はその縁によって決定される。
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強力な「同一性」の原理が働く(縁でできた集団は、自分たちを外の人々から区別しようとする)。
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個性をならして均質なものにする。
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排他的な超越する神。「正しさ」を支える法の神。共同体の内部コミュニケーションを維持する。
(中沢新一:『芸術人類学』を要約)
この繰り返される円環的な運動だけでは「ふっくりんこ」のようなイノベーションは起きようもないのである。そこには「組合(アソシエーション)の原理」が必ず働いている。それはかつて北海道に移住して来られた方々が持っていた、開拓者精神(フロンティア・スピリット)の残映であるだろう。
組合(アソシエーション)の原理
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組合は非農業的、縁の作り出す社会的束縛からの自由の空間。平等。アジール。同一性をもたないトポス。
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非農業民。非定着、無縁。「原始・未開以来の自由の伝統を生きるもの」。(網野善彦)
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「数の原理」で組織される。年齢階梯性(年齢や年次や受けたイニシェーションの回数など)。
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「同一性」にかわっての差異を尊重。個性の重視。共同体との断絶
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霊的ではあるが肉体性をそなえた神。
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未知のものを表現する芸術の神、文学の神。
(中沢新一:『芸術人類学』を要約)