遡ること12月19日の夕餉のことを書く。この日は予約していたムグンファへ。予約の理由がタットリタンで、これは「1時間前に電話ちょうだいね」(@オモニ)なのであるが、当日が酷い二日酔いになっているなんて夢にも思わないわけで、ちゃんと二日前に予約していたという律儀さ。値段は2000円である(たぶん)。
これはムグンファのオモニ、金明執さん怒りの逸品た。ことのはじまりは先月のことである。あるテレビ番組でタットリタンが紹介された。その番組をあたしもオモニもみていて(当然に別々にであるが)、前回、豚足のソウル風の食べ方を教わったとき※1、その聞き慣れない料理のはなしになった。
そこでオモニ曰く、あれは私のパトリ※2、ソウルのタットリタンではない、と。おー、いい展開である。それでオモニはタットリタンをつくったらしく、それはGINZA※3 という雑誌の取材用だけれども、12月になったらメニューに入れるので食べてにきてね、と。金明執はパトリを背負って闘う料理人なのである。
それでこの日のタットリタンなのであった。あたしがTVでみたのは鍋だったのだが、これは汁を煮飛ばしている。つまりは鶏肉でつくる韓国版の肉ジャガである。辛そうに見えるかもしれないがそんなに辛くない。例によって複雑にうまい。
成る程、これは日本の肉ジャガとは同属異種であるな等と考えるのはあたしの性分であって、であれば絶対にこれはご飯に合うはずだと。そこでオモニにライスをお願いすれば、わかっているわね、と褒められる。つまりやることはこれしかないのである。タットリタンの残った汁にご飯を入れて食べる。すればそれは痺れるぐらいにかなしい※3 。
韓国家庭厨房 ムグンファ (カンコクカテイシュウボウ・ムグンファ) |
2009年2月1日に西浅草へ移転しました。 |
※注記
- 豚足の食べ方。(韓国家庭厨房 ムグンファ:浅草4丁目) 参照
- 当然に「パトリ」という語彙は使っていないけれど、そういう文脈だったということ。
- ギンザ2009年1月号p163
- この「かなしい」はそろそろ浸透してきたかとは思うけれど、つまりは、『かなしいというのは、痛いとか苦しいとかそういうものでなく、それは「誰かと別れること」や「何かをあきらめること」の必然的で根源的なかなしさです。そのかなしさが、わたしら街的人間をタフにするのでしょう。』@江弘毅 ということ。