桃知商店よりのお知らせ

民主党のマニフェスト―5原則5施策。スパイト政治の欠点を如何に補うのか。

7月27日、民主党は総選挙に向けたマニフェストを正式発表(2009年 ロイター/Issei Kato)
7月27日、民主党は総選挙に向けたマニフェストを正式発表(2009 ロイター/Issei Kato)
民主党は27日、総選挙に向けたマニフェスト(政権公約)を正式発表。鳩山政権の政権構想として「官僚丸投げから政治家主導の政治へ」など5つの原則と、首相直属の「国家戦略局」による予算骨格の策定など5つの施策を掲げた。


5原則

  1. 官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ。
  2. 政府と与党を使い分ける二元体制から、内閣の下の政策決定に一元化へ。
  3. 各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ。
  4. タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆(きずな)の社会へ。
  5. 中央集権から、地域主権へ。

5施策

  1. 政府に大臣、副大臣、政務官(以上、政務3役)、大臣補佐官など国会議員約100人を配置し、政務3役を中心に政治主導で政策を立案、調整、決定する。
  2. 各大臣は、各省の長としての役割と同時に、内閣の一員としての役割を重視する。「閣僚委員会」の活用により、閣僚を先頭に政治家自ら困難な課題を調整する。事務次官会議は廃止し、意思決定は政治家が行う。
  3. 官邸機能を強化し、首相直属の「国家戦略局」を設置し、官民の優秀な人材を結集して、新時代の国家ビジョンを創り、政治主導で予算の骨格を策定する。
  4. 事務次官・局長などの幹部人事は、政治主導の下で業績の評価に基づく新たな幹部人事制度を確立する。政府の幹部職員の行動規範を定める。
  5. 天下り、渡りのあっせんを全面的に禁止する。国民的な観点から、行政全般を見直す「行政刷新会議」を設置し、全ての予算や制度の精査を行い、無駄や不正を排除する。官・民、中央・地方の役割分担の見直し、整理を行う。国家行政組織法を改正し、省庁編成を機動的に行える体制を構築する。

スパイト政治とばらまきの関係

いってみれば民主等のマニフェストも「開発主義の終焉※1であり、官邸主導のやりかたは小泉さん的でもある。つまり国民の官僚へのスパイト(嫉妬)活動をうまく利用しようとしている。仮想敵は自民党というよりも官僚であって(自民党もなめられたものだ)、つまり国民の不満はは第一義的に官僚にあると見ているのだろう。

この嫉妬をうまくとりまとめたのが、古くは細川さんであり、そして小泉さんであった。

彼らは国民の公務員に対する嫉妬を追い風に、公務員改革(例えば郵政民営化)を行い、公共事業を減らし、支持を拡大していった。

日本における新自由主義(小泉-安倍路線、つまり「小さな政府」)は、人間のスパイト行動(嫉妬)の初期的な帰結だと(私は)思っている。[世界最後の社会主義国家? 野口悠紀雄の『戦時体制未だに終わらず:史上かつてない平等社会』という欺瞞。](ちょと違うか?) ※2

ただこの手法(スパイト政治)は文字通り「意地悪」だけで終わると、国民への再配分は極端に減ってしまうことがわかっている(というか小泉さんから安倍さんの時代に国民は学習している)ので、嫉妬につける薬はないといわれているが、そして嫉妬の前ではどんな論理的な反論も意味を持たないのだけれど、しかしこんな時代(総じて不景気)には、嫉妬につける薬があたりするからややこしい。

その薬とは皆さんが大嫌いな「ばらまき」、それも官僚がからまない(だから反開発主義なの)。

自民党と官僚

つまり民主党のマニフェストはそういうふうにできていて、それに対して自民党は。官僚に頼らない財源確保なんかあるか、と批判しているに過ぎず、しかし官僚へのスパイトを押さえ込むのは再配分でしかないので、自民党のマニフェストも「ばらまき」になる(それも官僚主導の)。

しかしそれでは自民党の負けは決定的になりかねず、それは官僚制の敗北であるから、官僚は官僚のために、自らを否定するようなマニフェストを自民党につくらせるかもしれない。官僚的には民主党の単独過半数を阻止できれば、今回の戦況は「勝ち」なのだろうと(あたしは)思っている。

ということで午前7時起床。浅草はくもり。

2009/07/28 追記

選挙:衆院選 民主マニフェスト「ポピュリズムの極み」 閣僚らが批判

麻生太郎首相は28日午前の閣僚懇談会で、民主党のマニフェスト(政権公約)について、「特に安保・外交政策が極めて不安だ。このような民主党に政権を委ねるわけにはいかない」と、強く批判した。河村建夫官房長官は同懇談会で、各閣僚に民主党のマニフェストを精査し意見をまとめるよう指示した。

各閣僚の閣議後会見でも批判が相次ぎ、甘利明行政改革担当相は税金の無駄遣いをやめることなどで財源を捻出(ねんしゅつ)するとした点に関し「ポピュリズムの極み。突然、何十兆円も捻出される魔法の種を教えてもらいたい」と語った。

与謝野馨財務・金融担当相は「マクロの財政、経済政策が入っていない。極言すれば、選挙用のフライングフィッシュ」と痛烈に批判した。

中曽根弘文外相は外交安全保障政策について「平和と安全をないがしろにする無責任極まりないもの。『現実的対応』という発言を聞いたが、自分たちの変節をどう説明するのか」と厳しく指摘。斉藤鉄夫環境相は、民主党が温室効果ガスの排出量を20年までに90年比で25%削減するとしたことについて「ガソリン税の暫定税率の廃止は方向が逆ではないか」と批判した。【坂口裕彦】※5

※注記

  1. 村上泰亮による開発主義政策のプロトタイプ・モデルは次の8項目からなる(村上泰亮, 『反古典の政治経済学 下 二十一世紀への序説』,中央公論社,1992,p98-9)。
    • 私有財産制に基づく市場競争を原則とする
    • 政府は、産業政策を実行する
    • 新規有望産業の中には輸出指向型の製造業を含めておく
    • 小規模企業の育成を重視する
    • 配分を平等化して、大衆消費中心の国内需要を育てる
    • 配分平等化の一助という意味も含めて、農地の平等型配分をはかる
    • 少なくとも中等教育までの教育制度を充実する
    • 公平で有能な、ネポティズムを超えた近代的官僚制を作る
  2. スパイト行動(嫉妬)につける薬―[田中 秀征:行政改革と公務員改革の灯を消してはならない]を読んで。  参照
  3. スパイト行動は、自分の利益を犠牲にしても、相手が利益を得ることを阻止しようとする行動なのだから、嫉妬する側にも不利益をもたらす。(嫉妬の帰結なんてろくなもんじゃない)
  4. 選挙:衆院選 民主マニフェスト「ポピュリズムの極み」 閣僚らが批判 - 毎日jp(毎日新聞) 参照

Comment [1]

No.1

民主党代表
小沢一郎先生

1.現在政党、国会議員が矢鱈に他国語単語(マニフェスト等)を使用し、年寄りには理解のできない言葉で得意げに政権構想などを報道までする。

 あなた方は日本語で、政党や自分たちの意志や、構想を国民に話しかける事が出来ない政党や、議員集団なのではないか?

 このような政党に日本国を任されますか?
 このような議員に投票できますか?

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