桃知商店よりのお知らせ

「でんでん」とよばせてもらってます―株式会社伝耕。

株式会社 伝耕

株式会社 伝耕あたしは「答えのないコンサルタント」を標榜し※1、街場のスナックをビジネスモデルにし※2、けれどもそれは、商売人としてはけっして楽な生き方でないのは当然で、(あたしは)ますます商売人から遠いところで商売をしているという言語矛盾を背負った商売人になってしまった。

今サイト構築をお手伝いしている株式会社 伝耕という会社は、(あたしにしては)珍しく、建設会社ではなく、では何かと云えば、社長曰く、

アラフォーというにはもう図々しい年齢、クライアントさんは東京なのに大阪在住、自由のきかない子持ちの女が、会社をはじめてみた。マーケティング(視点の解決)を標榜する会社の経歴があるにもかかわらず、はじめた会社は第一義的にソリューションを約束しない、おかしな会社。※3

なのであって、「答えのない」ひとであるあたしには、とても他人事とは思えないところが満載の、ある種のシンパシィを感じる人々なのである。


ただ、(あたしが)「答えのない」――つまり「わからないという方法」をソリューションとしてとるとき、唯一とれる態度は「携わる」でしかなく、だから携わるのだけれども、(あたしは)未だに伝耕がなにをする会社なのかよくわからないでいるのもたしかであって、「伝耕」「伝版」「ひとふでんず」「伝版」、…伝、…伝、でん、でん……なんなんだ、でんでん。

迷宮と中心

伝耕のサイトには「伝(でん)」が4つと「でんでんする人々」のブログが3つある。迷宮それはサイト構築的にはむしろ有利だと考えているのは、つまり(あたしのいうところの)「迷宮」が構造的につくりやすいからだ。

けれど7つのサイトを並べればそれが迷宮になるのかといえばそうではなく、なぜなら「本来の迷宮は中心への唯一のルートを示す。 」からだ。

つまり今のところ伝耕サイトは「第一義的にソリューションを約束しない」が故に中心がよくわからないのだが、中心がぼけたままに迷宮をつくると、「四角形の網状の都市」ができてしまうことで、それは並列に過ぎなくなってしまう。

わたしたちのなかにある都市についての一つの曼荼羅感覚、つまりそこへ行き、そこから帰ってくる一つの中心、そこを夢み、そこへおもむきそこから取ってかえす、一口にそこで己を発見する一つの完全な場所をいっさいの都市空間が内部に持っているとする感情、これを傷つけるのである。※4

だから中心は空洞(顧客に携わりながら埋めていく)であってもいいのだけれど、中心性を失ってはいけない。

中心性とは共同体性のことであり、コミュニティである。つまり伝耕サイトが、ある種の共同体性を目指すのなら(というか目指さないサイトは皆無だろうが)、中心はとはなにかを、しかしなぜその中心は空洞なのかを、(サイトを構築することで)どこかで(他者にも自分自身にも)語ることになるだろう。

それは言葉である必要はないのだけれど、ただ〈他者〉=まだ見ぬあなたに携わるためには必要なのである。 

あたしが10年この商売を続けてこれたのは、「答えはない」=中心は空洞だけれども中心性はある(中小建設業と地域社会のために貢献します!!)からであって(たぶん)、むしろ中心は空洞の方が、(商売的には大化けしないかもしれないが)イナバの物置ぐらいの強度は生じるだろう。100人乗っても大丈夫ぐらいの。

浅草寺の子宮的構造をWebにつくる

空洞な中心に向かってすすむ迷宮のことを、あたしは浅草寺の子宮的構造※5 と呼んできたし、あたしのこのサイトは、浅草寺の子宮的構造をモデルとしてつくっている(なかなかうまくできないが)。

伝耕サイトが浅草寺のような子宮的構造を持つには、空洞ではあるが、紛れもない中心と、そこへ向かう人々の直進性を歪めながらも、けれど中心をはずさないように存在するコンテンツ(浅草寺でいうなら仲見世)が必要だし、迷い込む人々=街場のナックモデルも機能させたいと考えている。

ではそれを誰がつくるのかといえば、残念ながらあたしではなく、伝耕するひとびとの仕事なのである。あたしはリアルな世界でもバーチャルな世界でも建設業なのであり、できることは、あたしの身体的な技術(つまりあたし自身だ)を賭して携わることだけなのだ。

西道社長は毎日ブログを書き始めた。昨日の打ち合わせで、テクストがうまいですね、と褒めた。それはお世辞ではなく、テクストの快楽主義者であるあたしが感じた素直な感想だ。

そして「でんでん」も少しずつではあるけれど、コンテンツが充実してきた。それとともに、「でんでん」が何物なのかはあきらかになっていくだろう。付録的にTwiterへFeedを飛ばしてみた(@denkocope)。

※注記

  1. 桃論―中小建設業IT化サバイバル論|Lesson3 私の身の上ばなし(3)―答えのないコンサルタントの「わからない」という方法 参照
  2. 私の商売のビジネスモデルは「街場のスナック」です。 参照 
  3. 代表の西道広美さんのブログ「ずらしてやってきたジャグリングな日々」 参照
  4. ロラン・バルト:『表徴の帝国』:p52
  5. (浅草寺の)子宮的構造。 参照
    140Bの中島社長は浅草寺をスーパースターと呼んでいたけれど、うまいことをいうものだ。

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伝耕のお仕事便り

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