天草の伊勢海老天草の伊勢海老


天草の伊勢海老の引力

午前6時40分起床。浅草は雨。山鹿市管工事業協同組合での講演と講習が終われば、その日の一献は六七二むなじだった。ここの店主は天草の出身で親戚筋に漁師がいるという。この前日は休みで丁度天草に行ってきたばかり、つまり今朝取れた魚を出してくれたのだ。

伊勢海老はよく見るものだが、普段は「あー有るな」程度の存在でしかない。しかしこの日は、「いの一番」に伊勢海老なのだった。それだけの引力を持った伊勢海老は決して大きいわけではなく刺身の上に長い髭をたくわえていたのである。

しかしその引力は凄まじく、そして一口食べればすべてがうまい。こんなに甘い伊勢海老をあたしはこの歳になって初めて食べた(ような気がした)。綺麗に並んだ刺身の上に横たわったその姿は、それだけでも十分甘いのだが、しかしこんなに甘い伊勢海老を食べた途端、正味あたしの糖質制限食は壊れたのである。

それは、御法度であるビールを飲み続けたことで、翌日の血糖値はどうなってもいい、と思ったのだ。その上、最後に伊勢海老の殻を味噌汁にしてもらうと、その甘さを越えた旨さがあたしの口をとらえてしまった。

それはブリの煮付けの甘さとはあきらかに違う甘さだったが、いや、こんなにうまい味噌汁は生涯何度目だろう、とミソがなくならないように、と貧乏たらしく飲み続けたのだ。

刺身 ブリの煮物

味噌汁

六七二(むなじ)
0968-43-9801
熊本県山鹿市昭和町201ライフステージ山鹿1F

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