サロマ湖の牡蠣サロマ湖の牡蠣


「サロマ湖の牡蠣」という名指し

午前5時10分起床。浅草はくもり。西村さんから何時もの「サロマ湖の牡蠣」が届いた。(何時ものように)河井商店の取り扱いである。これを早速「蒸し牡蠣」にして「何時ものように」食べれば、牡蠣は「何時ものように」うまい。まるで地図と暦が北海道からここ浅草に移って来たかのように、毎年12月上旬にあたしの家は牡蠣祭になるのである。しかし、この「何時ものように」の関係は、まるで「街的」の様なのだが、ニュアンスが微妙に違うことに気が付くだろうか。

この「蒸し牡蠣」を食う、というのは極めて家族的な体験でしかなく(しかし私的ではない)、大家さんに「あの牡蠣はうまかったですね」等と云おうものなら、あたしの頭を疑われかねない。つまりこの「サロマ湖の牡蠣」を食べるという行為は、あたしの家族の経験として家の中で閉じているのである。

まあ、今でこそ市中に「焼き牡蠣」の店が数多く出ているが、「サロマ湖の牡蠣」という名指しを受けた牡蠣を浅草で食べている家族というのは(たぶん)あたしのところ一軒なのだ。その(ある意味)特殊な体験を、家族のものだけにしておくのはもったいないな、と思いつつも、如何せんこれは極めて「家的」な行事なのである。

蒸し牡蠣

蒸し牡蠣

(有)河井商店
北海道紋別郡湧別町栄町