洋食屋ヨシカミに行ってみるか
午前3時50分起床。浅草は晴れ。「洋食屋ヨシカミ」にランチに出掛けた。出掛けたと云うが、「ヨシカミ」に行ったのは何と11年振りという篦棒さだ。この日は何故か家人と「ヨシカミ」にでも行ってみるか、と云うことになり、まだ店も開いていない時間から行列に並んだのである。
行列は驚くにあたらない。よくある風景なのだ、若しかしたら「オミクロン株」のせいで、何時もよりは人が少ないかもしれないな、と思いながら暇な時間を過ごす。あたしは何を食べるのかを考えていた。糖質制限食などをやっているものだから、「ナポリタン」とか「ハヤシライス!」はどうしても食べられないのだ。
そんなもので、何時のまにか足が遠のいていたのだ。この日は「ビーフシチュー」と「カニサラダ(ハーフ)」、それに家人が「ナポリタン」を注文しようと決めた。そして店が開く。あたしらは行列をつくって店の中に入っていくのだ。しかし、この日は特等席だったのだよ。
カウンター席の一番左側に座れたのである。店内はオープンキッチンであるが、運良くカウンターに座れたら儲けものなのである。この席の何が凄いかと云えば、厨房で働く沢山の人々の動きを全てみることが出来るのだ。いや、全ての料理がどうやって作られていくかを見られるだけども儲けものなである。
厨房は魔法だ
この強烈に進む、個々のメニューを作り上げる、という作業はまるで魔法の様に見える。一体何人のお客さんがいるのだろう。その沢山の数のメニューを、メニュー毎に、しかし同時進行で作っていくのだ。恐ろしいとさえ思える厨房の花は、やはり中央でフライパンを振っているシェフだ。
あたしの目の前はパンの担当の方とサラダを作る方がいた。手元であたしの注文した「カニサラダ」が作られている。いや、見事な手さばきである。こんなのを見て良いのだろうか、とさえ思う。これも料金に入っているのなら、「カニサラダ」はもっと高くてもいいのにと思う。
過剰な中庸
出てきた「カニサラダ」を食べてみる。あーそうだよ、と思った。この味だと思った。すっぱすぎず、かといって甘過ぎじ、しょっぱ過ぎず、中庸なのだ。そして出てきた「ビーフシチュー」を見て呟く。「まっ黒だ(笑)」。そうこのまっ黒な「デミグラスソース」こそ「ヨシカミ」の証である。
あたしは気合いを入れ直して食べはじめた。あー旨い。そうだここは浅草なのだ、と思った。最近は遠ざかっていたが、洋食の名店は沢山ある処なのだ。若い頃は「ビーフシチュー」や「タンシチュー」を(嘗ての家の1Fにあった)「大坂屋」で食べていたものだ。
あたしは肉塊を一つ家人にあげる。そして家人の「ナポリタン」をもらった。そうだよ、そうだよ、と思う味なのだ。涙がでそうになる。その味は見事に「中庸」なのだ。さすがは、「うますぎて申し訳ないス!」のヨシカミなのだ。「過剰な中庸」こそ「ヨシカミ」なのである。[浅草グルメマップ] [浅草でランチ]
洋食屋ヨシカミ
東京都台東区浅草一丁目41-4 六区ブロードウェイ