おおもりおおもり


おおもり

午前5時50分起床。浅草は晴れ。久々で「玄蕎麦 しんがり 浅草本店」で蕎麦を手繰った。この日は蕎麦だけを食べようと思っていたので、「玄蕎麦の大盛」をお願いしてみた。まあ、所謂「おおもり」である。店は相変わらずだが、客層は、なぜか女性の、それも中年の方々が多い。この客層を呼び込めるのは、なにかあるのかなと思う。

そして、ここは全てが見渡せる、というオープンキッチンになっているのだが、それだけに良い点もあり、また悪い点もある。まず良い点なのだが、あたしの注文したものが出来上がる、という事の次第が見える、と云うことだろう。そして悪い点も、その事の次第が見える、と云うことに尽きる。

押し出し式製麺機の功罪

ここは例の押し出し式製麺機を使っているのだが、この一世を風靡した機械も、蕎麦と云うものを作るのは、そろそろお終いのころだと思うのだ。なにせ、あたしが好きで通った「石臼挽き生蕎麦 本陣」も店を閉めた。あの「盛岡冷麺」のような麺を出す店がだ。やっぱりこの麺を蕎麦と呼ぶのは難しい。

難しいと云われている十割蕎麦を、誰でもが打てることがこの機械の利点だろう。そして欠点としては、だれも蕎麦を打たないし切らないのだ。全ては押し出し式製麺機次第なのである。この日も女の子が麺を作り茹でていたが、その茹で方は丸で冷麺なのだ。その蕎麦を上げて笊に盛るのだが、その盛り方も、まるっきし盛岡冷麺なのである(笑)。

蕎麦ではない蕎麦

さらには、蕎麦だとは云っているが、やっぱり手繰ると蕎麦じゃないことが明かなのだ。謂わば、蕎麦ではない蕎麦を蕎麦と呼ぶのでありそこに無理がある。この店も十割蕎麦を使い、一応「玄蕎麦」という名を付けている。ただ、麺はおいしいと思う、ただし、蕎麦のようなものとしてだけれども。

その蕎麦を手繰るあたしに、「初めは何も付けずに食べてください」の声がけがなかった(笑)。もうなくしたのか、それとも忘れたのかは知らない。それでもこれはうまいと思う。しかし、散々書いてきた通り、その旨さは蕎麦の旨さではないのだ。冷麺の様なうまさである。

蕎麦がモッチリとしている。あたしはその食感は綺麗ではない。成る程、これも押し出し式製麺機のいいところだろう。しかし正に不思議な食感の蕎麦のようなものなのだ。その蕎麦のようなものを蕎麦と云う、いや蕎麦と云えば蕎麦にはなるのだが、なによりも蕎麦を食べた様な気がしないのだよ(笑)。[浅草グルメ] [お蕎麦deランチ]

おおもり

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玄蕎麦 しんがり 浅草本店
東京都台東区浅草一丁目19-8