コミュニケーション

中小建設業の経営において、最も大切なものでありながら最も軽視されてきたものに「コミュニケーション」があります。その多くは、経営層と社員、社員と社員、本社と現場のコミュニケーションの欠如です。しかしコミュニケーションがない、という経営はありえませんし、経営とは円滑なコミュニケーションから成立できるものでしかありません。


「現場のIT化」がいうのは、まず全ての社員によるコミュニケーションを、IT化の最初の目的のひとつとする、ということです。建設業では、現場が分散して存在しているという地理的な問題が必ず存在するために、全ての社員が顔を付き合わせてコミュニケーションをおこなうという機会は持ちにくいのが特徴ですし、また経営者やマネージャーが全ての現場を訪れてつねに状況を把握することも困難です。

その為、比較的小さな組織体でも、社員間のコミュニケーションや、組織横断的なコラボレーションは意外と欠如しています。しかし、長い間コミュニケーションやコラボレーションが、中小建設業の経営においてさほど重要視されなかったように思えるのは、それを無視してきたからではなく、そもそも分散型組織形態というコミュニケーションやコラボレーションが難しい環境で仕事をしているからです。「現場のIT化」がいうインターネットやイントラネットの必要性は、そのような「環境」の存在と、〈現場で稼ぐから建設業〉という「原理」の当然の乗数でしかないのです。そして大切なことは次の事実です。

コミュニケーションがないところでミームが育成されるはずもない