ご機嫌!江弘毅ご機嫌!江弘毅


ご機嫌!江弘毅

午前6時30分起床。浅草はくもり。土曜日の夜、あざみ野に居たあたしに一本の電話がやってきた。電話の主は江弘毅、あたしが恋して止まない大阪の人である。なにやら仕事でやってきたらしいが、品川に居ると云う。丁度帰り足であったあたしは、1時間位で着くと思う(ホントは1時間30分はかかるが)、と話すと、浅草で待っていてくれと話した。(たぶん)江弘毅は居酒屋浩司で待っている、と確信していたのだ。

それから田園都市線と銀座線を乗り継いで浅草に着いた。何時もの道なのだけれども何故か小走りで進むあたしが自分でもおかしかった。浅草寺を脇に見て、奥山おまいりまちを浩司に急ぐと、ビール瓶を立てて江弘毅が居た。孤独な大阪人(と江弘毅が云ったのだ)がちっとっも違和感なく椅子に座っていた。

「痩せたな」、と江弘毅は云う。どちらかというと今は太っている方になのに、前回会ったのが2013年の4月だから、あの頃から比べたら痩せたのかな、と一人笑った。早々に居酒屋浩司を後にして、「すし処 清司」に向かう。そう、清司は江弘毅が大好きだ、と云う処なのである。あたし達は、清司でまずは「蛸のお造り」をもらう。すると江弘毅が「うまいわ」と褒める。

その「うまい」を語る江弘毅の言葉の妙を脇で聞いている。さすが本を出すだけの人間である。江弘毅のあやとりのような言葉の組み合わせがあたしは大好きなのだ。「こはだ」を頼む。食べる前からうまいのがわかる、と云う。そう、その通りでこれもうまい。江弘毅はあまりのうまさにもう一貫握ってもらうのだ。その後「穴子」、「大トロ」と江弘毅の話し付きで食べる。普段よりも何杯もうまく感じる幸せ。

そして最後に「パパセット」を食べた。この「パパセット」はなぜ「パパセット」なのか、と江弘毅は聞くが誰もそんなことは分からないのである。当のあたしも分からないまま20年近くこの「パパセット」を食べ続けている。そう云って二人で一皿を分け合ってたべれば、江弘毅は大阪に帰らなくてはならない時刻である。本当に短い時間だったけれど江弘毅の言葉を心にとどめておけるあたしは幸せだ。酒を呑んだ上で言葉を覚えているなんて、暫く忘れていた感覚だ。江弘毅、またやろうな。[浅草グルメマップ]

蛸のお造り

こはだ

パパセット

すし処清司
東京都台東区浅草3丁目22-12 新坂ビル1F