桃知商店よりのお知らせ

内部告発の国・偽装の国・悪党の国―「何人もその家卑の前では英雄足りえず」を超えるには。

食品の不正行為に関する告発が急増している。ミートホープの食肉偽装事件を機に農林水産省への告発が一気に増え、6―9月は前年同期の2.7倍に当たる1241件に達した。偽装手口を具体的に説明する内部告発が目立つ。これに対し、食品業者が製品を自主的に回収する動きも急増、1―9月で昨年1年間の2.2倍の527件に上っている。/三重県伊勢市の老舗和菓子メーカー「赤福」での不正を告発する電話が同社関係者から東海農政局にかかってきたのは8月中旬。通報者は製造日の改ざんなど手口を詳細に説明した。今月29日に発覚した高級料亭「吉兆」グループの「船場吉兆」が期限切れの菓子を販売していた問題も、保健所への匿名の通報が端緒だった。[NIKKEI NET(日経ネット)|食品偽装の告発ラッシュ、6-9月で1200件超す]


午前7時起床。浅草はくもり。

ミート・ホープ白い恋人までは、まだ(ブログに)何か書こうか、という気にはなった。

赤福比内地鶏の偽装問題に至っては、なんだか書くのも馬鹿らしくなり、昨日は、御福餅も、赤福同様の偽装を自己申告。

さらに(これは食品ではないが)、ニチアスの耐火材偽装まで報道されるに至り、先ほどはミスター・ドーナツが期限切れのシロップを使っていた、という報道である。

私は期限切れの牛乳も飲むし、期限切れの薬も使う人なので(つまりそれでも大丈夫ということだ)、まあ、世の中そんなもんだろう、と思ってはいるが、結局これって「純粋贈与」なき贈与共同体(円環モデル)の限界なのだろうな、と思う。

つまり、これらが教えてくれることは、[何人もその家卑の前では英雄足りえず。]ということであるが、それよりもなによりも、私らやっぱり悪党性を内に孕んでいるのだわ、ということだ。

まず、良くも悪くも、組織を裏切る者は居る、ということだ。(それがスパイト行動なのか良心の呵責ゆえの行動なのかはわからない)。

そして、これはもっと根本的なことであるが、「しくじり」の原因である。

男が、何かをしくじる原因は、金と女に尽きる。

悪事に動くときの原因も、金と女であるだろう。

だから悪事はしくじりやすい。

これらの偽装の問題は、金の問題、ということになるかと思う。(まあ、金さえあれば、女はどうにでもなる、という意見もあるだろうが)。

しかし私は、金が悪い、と言っているのではない。

商い(企業経営)というものは、最初から動機に金が混じっている。

となると、どこかで無理が出るのは当然で、経営というのは、しくじりを常に孕んでいる、ということだ。

それが、「純粋贈与」なき「円環モデル」の限界をつくる。

その理由は、端的に言えば〈利他〉がない、ということだ。

普遍経済学〈利他〉とは見返りの無い贈与、つまりは、「無私」「純粋贈与」なのだが、たぶん無神教徒である日本人は、これが一番苦手なのだろうな、と思う。

それは「純粋贈与」が贈与共同体に与えるけん制なのだ。

しかし、日本人は、このけん制装置を独裁的なもの(針千本マシーン)――つまりは円環の中だけで通用するもの――にもとめてきた。→[ヒエラルキー・ソリューション]

そのことで、贈与共同体はどうしても狭い世界に収斂してしまう――ことで、円環を超えた信頼が生まれにくいのである。

この信頼を「一般的な信頼」(山岸俊男)というのだろうが、それを得るために必要なのは、規制や懲罰ではない。

ただ、トポロジー的に円環をひねることだ、と(私は)考えてきた。→[メビウスの帯]

しかしそれには、円環を超えた〈他者〉・〈利他〉つまり「純粋贈与」がないといけない。

この視点がないと、ひねりは生まれない。

ではその視点を、悪党性を孕む私たちが得るにはどうしたらよいのだろうか。

私は「わかりません」としか答えようがないのだが、私自身がやるべきこととして、そこに〈私〉を立てること、つまり二項区分に、私―他者という補助線を置く事を繰り返してきた。

(それが「反省」としての「考えるIT化」である)。[私―他者という補助線若しくはコミュニケーションの2つの意味――モラロジー建設部会での講演用PPTの解説(その4)。]

まあ、こんなことを書いても、世の中が〈利他〉的になるわけもないことは百も承知でしている。(法律で規制したほうが楽だろう)。

しかしあえてそれを書くのは、〈私〉自身が、そういう失敗を繰り返さないように、(絶対に無理だけれども)純粋贈与に少しでも近づけるように、その視点を無くさないように、生きていくしかないな、と自分自身に言い聞かせている、ということだ。(ああ面倒くさい……)w

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