牛丼かつ丼牛丼かつ丼


牛丼かつ丼という欲望

午前4時30分起床。浅草は晴れ。「かつや浅草店」に行って買ってきたのだ。「牛丼かつ丼」をである。このハイブリッドを見つけたのは先週で、この日も弁当を買っていた。その時「牛丼かつ丼」のポスターがあった。あたしはそポスターを見て「一体、だれが食うんだろう」と思った。

しかし、どうしても気になっていたのだ。この「牛丼かつ丼」がである。それから1週間も経たない内に、又「かつや浅草店」で弁当を買っていた。弁当は「牛丼かつ丼」なのである。しばらく店内で待っていたが、その間に弁当を注文する人の殆どが「牛丼かつ丼」である。

一体なにが起きたんだ。「一体、だれが食うんだろう」、と思っていた「牛丼かつ丼」をあたしが注文している。そして他の人までも「牛丼かつ丼」なのだ。なにか力があるのか、と思う。やがて出来上がった「牛丼かつ丼」2つを自転車の前かごに入れて家に帰った。

直ぐに食べてみようとしげしげと表面を見る。これはハイブリッドじゃなく、見事なパンセソバージュだな、と赤い紅ショウガをみて思った。三色スミレだ。そして、これを食べるあたしの最大の問題点であるご飯は、5分の1だけを貰って後は家人にあげることにした。

口に入れて思った。これは「食べてはいけないもの」だが、「絶対に食べたくなるもの」だ。勿論あたしはこれにサラダを付けた。この茶色の物体だけでは体が驚いてしまう。

まずは「牛丼」だ。「牛丼」のタレはもっと欲しいな、と思わせる。しかし、紅ショウガが付いていることで、なんとかそのタレの量をクリアしようとしている。最もあたしはご飯を余り食べないのでかまわないが。

そして「かつ丼」である。この「かつ丼」の頭はうまい。ご飯は少量しか食べられないが、「かつ丼」のタレで煮込まれた糖質がやっぱりうまいのだ。この「かつや」さえ糖質が全てを牛耳っているのか、と思うと、全国2000万人の糖尿病患者(らしい人)にとって、外食(外で作った食事)は益々大きな壁になってくる。

しかし、これはなぜあたしを惹きつけたのか、が謎のままだった。「牛丼」と「かつ丼」の両方をいっぺんに食べられるという欲望を満たしてくれるからだろか。資本主義の極意は欲望に答えるのではなく、欲望を顕在化させることなのだから、「牛丼かつ丼」という欲望が生まれればそれいいのである(食べ終えた途端にその欲望は消えてしまうのだから)。

牛丼かつ丼

かつや浅草店
東京都台東区浅草2丁目9-14 浅草大番会館