一由そば
午前4時起床。浅草は晴れ。28日の夜。寒い夜空の下を、夫婦でバスに乗り日暮里を目指していた。要は「一由そば」に行こうと云うのであるが、今年の「一由そば」の食べ納めは夕飯にしよう、という家人からの提案にあたしゃ乗ったのだ。しかし、ウチの家人はどれだけ「一由そば」が好きなんだろうなのだわ(笑)。
日暮里に着くと寒さがより一層身体に響くのは何故だろう。「一由そば」までの距離など無いも同然なのに、やたらと長く感じるのは何故だろう。店内は男性客ばかりで充満していたが、今日こそは「JKB」を食うぞ、と意気込んで来たあたし達、だが、生憎と「JKB」は無かった。いや、今年はついに「JKB」が食べられなかったのだ。
それで家人の「ジャンボゲソ天「+紅しょうが天+太そば」をお願いする。が、なんと「ジャンボゲソ天」が無いとのこと。いや、夜の「一由そば」は色々なものがなくなている。それで家人は「(普通の)ゲソ天+紅しょうが天+太そば」にしてみた。一方あたしは目を付けていた天ぷらがある。「かき天」なのだ。
かき天そば
その「かき天」を2個、それに「太そばのハーフ」である。つまり「かき天2個+太そばハーフ」=「かき天そば」である。「かき天を2つ」お願いね、と、がたいのいいお兄さんに告げると、「かき天」を蕎麦丼にいれてくれる。それにネギを盛って「かき天そば」の出来上がりだ。
店内が混雑していたので、あたしは偶然空いた2人掛けのテーブルに、家人はカウンターの端に立って食べることにした。あたしの横では、あたしより歳上と見える方が食べている。「あーうめぇ」と云いながら汁を飲むその姿は如何にも「一由そば」なのだ。たぶんこの親父さんはもうすぐ席を立つな、と考えながらあたしも蕎麦を手繰りはじめる。
「かき天」は冷めているが、それが熱い汁に浸されてふにゃふにゃになってくる。油がどんどん蕎麦の汁に溶け出している。あーこいつが旨いのだと「かき天」を食べる。するとだ、どこかで苦い渋みの混じった旨さが口の中で爆発するのだ。隣の親爺さんも席を立ち、隣に家人を呼んだ。
家人は丼を抱えてやってきて、そして相変わらず「太そば」を啜った。お客さんは次から次へとやってくる。そして食べ終えた客も次から次へと帰っていく。そう、ここは長居は無用なのだ。ガラス戸に貼られたレジメには「、大晦日特別販売品」として「大海老天 300」の文字が。いやもう直ぐ大晦日だなぁ、とあたし達も席を立ったのだ。[お蕎麦deランチ]
一由そば
東京都荒川区西日暮里2丁目26-8