カレー南蛮そば玉落としカレー南蛮そば玉落とし


ちょっと古い浅草

午前4時40分起床。浅草は晴れ。この建物に入ると、ちょと古い浅草を思い出させる。あたしにとってのちょっと古い浅草とは、まだ「うどんすき杉」があった時代だ。あたしは何故かこの店が好きで、息子が浅草寺幼稚園に行ったのも、あたしの個人事業主としての始まりも、考えてみれば「うどんすき杉」のお陰であった。

その「うどんすき杉」も今は無くなってしまった。跡地は駐車場になった。ばあちゃんも旦那さんもお母さんも、みんな草場の陰から見守ってくれている(と思いたいのだ)。そんな、ちょっと古い浅草が、今でもちゃんと生き残る一画に、戦後立てたと思われる「翁そば」はある。

だから、この店に来ると何時も安心するのだ。この店で「カレー南蛮そば玉落とし(かれーなんばんそばぎょうくおとし)」という云い方も教わったのだし、未だに「カレー南蛮そば玉落とし」を頼んでいる。そんな店にもコロナの影響はしっかりとあり、あたし達が行った時は、6人掛けのテーブルで横に並んで下さいと云われた。

カレー南蛮そば玉落とし

しかし「カレーそば」である。この「カレーそば」が、あらゆる「カレーそば」の中でも(あたしのランクでは)断トツの1位に君臨するものなのだ。花びらの様におかれた鶏肉とその中央においた玉子の対比が素晴らしい。その周りを、何時もぐるぐるとやっているカレーが覆っているのだ。

まずは玉子を混ぜてやろうと玉子を箸でつまめは、白い跡を惹きながら白身が黄色のカレーの中とその下にある蕎麦に絡みつく、と同時に黄身を無理やり蕎麦に混ぜ合わせてやる、と同時にカレーにも混ぜ合わせる。いや言葉にすると面倒だが、マイルドなカレーになるのだ。

そしてまずは蕎麦を啜てみる。熱くて、硬くて、重い、間違っても手繰ろうとは思わないこの蕎麦の旨さは、食べると別格なのである。この「カレー南蛮そば玉落とし」を食べ続けて20年、あたしの「カレーそば」はこれにて決まるのだ。あたしは何処の行こうと「カレーそば」と名のつく物が有れば必ず食べてみる。

だけども、この「カレー南蛮そば玉落とし」を凌駕するものには未だ出会っていない。そして今日も「カレー南蛮そば玉落とし」を食べられるのは、息子さんの代になっても、相変わらず同じ様にぐるぐると蕎麦を作っているからだ。蕎麦の中でもこの「カレー南蛮そば玉落とし」に勝るものも滅多にないのである。[お蕎麦deランチ]

カレー南蛮そば玉落とし

カレー南蛮そば玉落とし

翁そば
東京都台東区浅草二丁目5-3