マルカンデパートのナポリカツ
午前4時20分起床。浅草は雨。昨日は花巻までマルカンデパート展望大食堂の最後の勇姿を見に出掛けたのだ。今まで様々な姿を見せてもらったマルカンデパートも、この6月9日で閉館してしまうのである。盛岡から各駅停車に乗って約40分。駅からはタクシーに乗ればあっという間にマルカンデパートだ。
時刻は10時50分。11時オープンの大食堂の開店には余裕でまにあったはずだった。ところが、エレベーターを6階で降りれば、そこにはかつてみたことのない人の山があった。なんだこれは、なのだが、噂には聞いていた開店待ちの行列だった。まさかウィークディにこれに会うとは思わなかったのである。
あたしは列の最後尾に並んだが、まあ100番目ぐらいだろうか。そうこうしているとあたしの後にも長い列ができた。いや凄まじいものである。これでウィークディなのであるから、土日にはどれだけ混むのかが思い知れる。
しかし動き始めれば速いのである。(たぶん)400人は入れる大きな食堂だ。あたしは今日は「ナポリカツ」と「ソフトクリーム」を食べてやろう、と思っていたのだが、暫くすろとウィンドウケースの処まできた。よく見るとナポリカツは時間かかかるらしい。んー時間がかかるのか、まあいいだろう、と食券売り場で「ナポリカツ」と「ソフトクリーム」の食券を購入したのだ。
「ナポリカツ」だけを最初にもらうことにして、「ソフト」は後でおねがするする事にした。しかし、これは非常にリスクの高い食い物である事には違い無く、だいたい「ナポリカツ」なんで炭水化物の固まりであり、その上「ソフトクリーム」まで食べるのか、と自問しておいたら「ソフト」の食券はサイフの中にそっとしまったのだ。
廻りの人達をみると皆二つずつ頼んでいることに気付く。若かろうが年寄りだろうが、「マルカンラーメン」と「ナポリカ」ツとか、「ナポリカツ」と「カツカレー」のようにだ(それにソフトクリームのようなスイーツが付く)。そうだここはダブルオーダーの店なのだ。あたしも二つ頼むべきだったのかもしれない。街の先輩達が皆そうしているようにだ。しかし、あたしは「ナポリカツ」だけで十二分になってしまたのだ。
ナポリカツ
ナポリカツはハイブリッド(マッシュアップ)だ。この店で最後に食するのにふさわしい洋食メニュー、といえばこれを置いて他にはないだろう。さすがに宮沢賢治ゆかりの地ならではの創造性で、ナポリタンとトンカツの組み合わせである。こんな何気ない(何処がだ)メニューに隠されたハイブリッドの威力をあたしはまざまざと味わった。一体何年振りのナポリタンなのだろう。そのおかげで帰りの新館線でもまだ一杯の幸せに浸っていたのだった。
マルカンデパート展望大食堂
岩手県花巻市上町6-2