桃知商店よりのお知らせ

田中康夫氏の落選。

午前7時30分起床。浅草は晴れ。

私は、政治経済学的な立場から、田中康夫氏の政治的手法には、反対の立場であったし、公共事業政策(多くの自治体に影響を与えた実験的入札システム)に対しては、旧店主戯言や、講演を通して公に批判をしてきた、自他共に認めるアンチ田中康夫である。

しかし、昨日の長野県知事選挙で、田中康夫氏が敗れたことに対しては、別にこれと云った感慨もない。ただ彼の失敗からは、学ぶことの方が多いのだろうなと思う。


簡単に云ってしまえば、ポピュリストの生命線は直観的マーケティングなのに、(ポピュリストである)彼は、長野県民の"こころ"をリサーチできないまま、終わってしまったということだろう――よいブレインがいなかったのだろうか――。

彼は、日本を覆う、大きな流れは理解していたと思う。六年前、第四象限的中景(非合理性)の否定という、大きな時流に乗り、さらに速いスピードで流れる政策を提示することで、勢のまま長野県知事となった。

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その政策は、第四象限的中景――大きな流れに逆らう非合理性さえ孕む――の上に合理性を上書きするのではなく、第四象限的中景を破壊し、合理埋性でその空白を埋めようとするトポロジー破壊の手法だった。

そしてその合理性を、第二象限のコミュニティ指向に求めた手法――例えばコモンズと呼ばれた学識経験者の活用や地場産業の振興へのポーズ――には、私も舌を巻いた。当時コミュニティ・ソリューションの可能性を考えていた私は、やられた、とさえ思った。

しかし結果的には、それ(第二象限でローカル性を支えること)は、うまくいかなかったとみてよいだろう。つまり彼が壊そうとした第四象限的中景は、じつは多くの長野県民の基底であり、いうなれば多くの長野県民そのものだったということである――第四象限的中景の重要性を主張するいまの私は、はっきりとそう云ってしまう――。

それが多くの方々の依って立つ大地であることで――将来的には第二象限寄りに足場を移すとしても――、まずその変化への足場がなくなってしまうことの不満と不安の表れが、今回の選挙結果のように私は思う。

地方自治においては――これはなにも長野県だけの特殊性ではないだろう――第四象限的中景の破壊は、その機能を代替するものがまだ存在していないことで、実のある変化を生み出せないでいる。壊せば生まれるものも減る。

彼は第四象限的な種(非合理性)を破壊しようとしたが(じっさいその多くは破壊されただろう)、しかしそれに代わる種(中景)を構築できないままであった(後任の方は大変だろう)。彼はこの構造を甘くみていたのではないだろうか――たぶん自分自身こそが、その穴埋めをする象徴なのだと考えていたのだと思う。それを独裁者というのだが…・・・――。

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神話のアルゴリズムが云うのは、いつも同じ状態であることはないということだ。 今回の選挙結果は、キアスム的にひとつの時代は終わったということだろう。象徴としての田中氏は、長野県民によって一部否定された(全部ではない。だが民主主義は一部否定だけで機能する)。そのひねりをもたらした今回のトリックスターは、他ならぬ、第四象限(長野県民)を否定し続けた田中康夫氏、彼自身だったように思う。

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ヤッシー君敗戦

今日も朝から真夏の天気です。 昨日の長野県知事選挙、即日開票で現職だった田中氏が... 続きを読む

Comments [2]

No.1

師匠!お元気ですか?熱(「暑さ」より、←ですね)さで、溶けてませんか?
さて、ヤッシーの落選を受けて、師匠がどんなコメントを出すか、興味津津でした。もっと辛らつなご意見を述べられるかと思いましたが、そこは大人の師匠のこと。大所高所に立ったご意見。学の低い私としては、馬鹿野郎~、座間~見ろ!的な言葉が欲しかったのですが。(笑)これは矢張り、アルコールの力を借りて、皆で盛り上がらなければなりませんね?!(爆)
遠くないうちにまた、涼しい(此処の所、連日30度超ですが)北海道で、溜飲を下げましょう。ではまた、お元気で。

No.2

馬渕さん>
コメントありがとうございます。
田中氏は敗軍の将ですからね。(笑)
まあ、これからはフリーですから、またなにか言い出すのでしょう。そのときは遠慮なく意見したいと思います。

しかし、毎日暑いと、北海道に逃げたいです。(笑)
今日は雨ですが…。

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